トランプ氏「イラン協議は最終段階、数日待つ用意」 決裂なら攻撃再開も
[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、イランとの戦闘終結を急ぐつもりはないと述べた。また、イランとの交渉は最終段階にあると述べ、合意に至らなければ攻撃を再開すると警告した。その一方で、米国はイランからの「正しい回答」を数日間待つ用意があるとも述べた。 トランプ氏は記者団に対し「イランとの交渉は最終段階にある。どうなるか見届ける。合意に至るか、あるいは少々厄介なことをするかだが、そうならないことを願う」と述べた。また、「今回に賭けている。急ぐつもりはない。理想的には、多数ではなく少数の犠牲で済ませたい。いずれの方法も可能だ」とした上で、戦闘終結の期限を設定するよりも、任務の目的を達成する方が重要になるとの考えを示した。 その後、トランプ氏は米沿岸警備隊士官学校の卒業式で演説し、イランの海・空軍はほぼ消滅したとし、問題は米国が任務を最後までやり遂げるか、イランが文書に署名するかだけだとした。「全てが失われた。海軍も空軍もほとんど全てだ。唯一の問題は、われわれがそれを終わらせるかどうかだ。彼らは文書に署名するのだろうか。どうなるか見てみよう」と述べた。さらに、「われわれはイランに非常に厳しい攻撃を仕掛けなければならないかもしれない。しかし、そうではないかもしれない」という二者択一的な発言を繰り返しながらも、イランの核兵器保有は決して許さないという決意を改めて表明した。 さらに後刻、トルコのエルドアン大統領との電話会談を終えた後、イラン問題について「われわれは理性的な人々と交渉している。正しい答えを見つけなければならない」とし、それを得るためなら数日待つ用意があると述べた。また、合意に至るまではいかなる救済措置も行わない方針を示した。 イラン側は、トランプ氏が戦争の再開を企てていると非難し、攻撃が再開されれば中東を超えた地域にまで報復すると警告した。イランの精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」も「イランへの侵略が繰り返されるなら、戦争が地域を超えて拡大する」と述べた。 イランの和平交渉のトップであるガリバフ国会議長は、交流サイト(SNS)で公開した音声メッセージで「敵の明白な動きと隠れた動き」は米国が新たな攻撃を準備していることを示すものだと述べた。また、高まる経済的圧力と封鎖によってイランが降伏することはないとし、イラン軍は停戦の機会を最大限に活用して戦力を再建したと述べた。 <パキスタン内相がテヘランを訪問、外交努力続く> これまで唯一の和平交渉の場を提供し、その後もイランと米国との仲介役を担ってきたパキスタンの内相が20日、テヘランを訪問した。 和平協議が停滞するなか、パキスタン筋は18日、中東紛争終結に向けたイランからの修正案を米国に伝えたとロイターに明らかにした。 ただその提案内容は、ホルムズ海峡の管理権、戦争被害の補償、制裁解除、凍結資産の返還、米軍の域内撤退の要求など、トランプ氏が以前拒否した条件とほぼ同様のものとみられる。 イラン外務省のエスマイル・バガイ報道官は同日、米国はイラン船舶に対する「海賊行為」を止めなければならないと述べた。これは、米国によるイラン港湾封鎖を指している。「過去1年半、イランは真剣かつ誠意をもって交渉の道を歩んでいるが、米国側の対応を踏まえると強く合理的な疑念がある」と非難した。 トランプ氏は18日、イランの近隣国数カ国からの要請を受けて、土壇場で攻撃を中止したと述べた。19日には攻撃命令まで「あと1時間だった」と語った。 サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン外相は、トランプ氏が外交のための時間をさらに確保する決断を下したことを歓迎。イランがエスカレーション回避のための仲介努力に早急に対応することを期待すると表明した。その上で、米イラン交渉の延長はホルムズ海峡の航行安全回復に寄与するとの見解を示した。 <中国タンカーが海峡を通過> イランは2月に米国とイスラエルによる攻撃が開始されて以来、自国船舶を除くほぼ全ての船舶に対してホルムズ海峡を封鎖している。イランは、自国の定める条件に従う友好国に対して海峡を再開することを目指していると述べている。これには通行料の徴収も含まれる可能性がある。 こうした中、合計約400万バレルの原油を積んだ中国の大型タンカー2隻が20日、ホルムズ海峡を通過した。イランは先週、トランプ氏が北京で習近平国家主席との首脳会談を行っていた際に、中国船舶に対する規制の緩和で合意したと発表していた。 さらに韓国の外相も20日、韓国のタンカーがイランとの協力の下で海峡を通過中だと述べた。 海運情報サービスのロイズ・リストによると、先週少なくとも54隻が海峡を通過した。これは前週の約2倍となった。 IRGCの海軍は20日、過去24時間に石油タンカー、コンテナ船などを含む26隻の商船が、イランとの調整の下でホルムズ海峡を通過したと発表した。 バガイ報道官は、イランはオマーンおよび「専門の国際機関」と連携し、ホルムズ海峡の持続的な安全保障を確保するためのメカニズムを構築する用意があると表明。また、他の沿岸国と協力して安全な船舶航行のためのプロトコルを策定する用意があるとも述べた。それ以上の詳細は明らかにしなかった。 <ドル・原油先物が下落> トランプ氏がイランとの交渉は最終段階にあると述べたことを受けて、ニューヨーク外国為替市場では、米国がイランとの戦争終結に向けた合意に近づいているとの期待が高まり、ドルが6週間ぶり高値から下落した。 主要通貨に対するドル指数は0.12%安の99.19。ユーロは0.1%高の1.1616ドル。英ポンドは0.22%高の1.3423ドル。 一方、原油先物価格は約4%下落した。中東からの供給途絶が続く中、投資家は和平交渉の行方に警戒を続けている。米東部時間午前11時29分(1529GMT、日本時間21日午前0時29分)時点で、北海ブレント先物は4.76ドル(4.28%)安の1バレル=106.52ドル、米WTI先物は4.22ドル(4.05%)安の99.93ドル。両限月とも、2週間ぶりの大幅な下落を記録する基調にある。 ただ、一部の市場参加者やアナリストは交渉の行方に慎重な見方を崩しておらず、米イランが合意に達しても世界的な供給逼迫は続く可能性が高いとみている。