クマによる人身被害、ロシアでも急増 今春以降、少なくとも22人死亡 もはやクマに「同情できない」との声も

ロシアのヒグマの生息数は、この30年間で2倍以上に増えた。冬が短く、暖かくなったことなどが背景にある。2026年はクマに襲われて死亡する事案が相次ぎ、外出を恐れる住民の姿が通りから消えた地域もある。政府はクマの生息数を抑える緊急対策を策定中だとしているが、一部の猟師は自ら行動を起こしている。 ◇シベリアのクラスノヤルスク地方で、猟師によるヒグマ駆除が行われている。この辺りではクマに襲われ、人が死亡する事案が相次いでいる。猟師のミハイル・コンダコフさんによると、近くのポドテソボ集落の住民から助けを求める声が寄せられている。猟師 ミハイル・コンダコフさん「クマが集落の中にまで入ってくることが増えた。2026年には悲劇が起きた。キノコ狩りに出かけた女性2人が、人食いグマに殺された。そこで私たち猟師は、住民の要望も受け、自主的にグループをつくった。集落の中にも周辺にもクマがあまりに多いため、クマ狩りを始めることにした」こうした問題はロシア各地で起きている。国営メディアによると、2026年春以降、少なくとも22人がクマに襲われて死亡した。ロシア政府は9月、ヒグマの生息数を抑える緊急対策を策定中だと発表した。ヒグマの生息数は、この30年間で2倍以上の30万8000頭に増えた。冬が短く、暖かくなったことなどが背景にある。ポドテソボのゾーヤ・グバノワさんは8月下旬、森に食べ物を採りに出かけた際にクマに襲われ、死亡した。ポドテソボの住民 ユリア・マルコワさん「犠牲者は、森がこれほど危険になったとは思っていなかったのだと思う。例えばゾーヤさんは、森に住んでいるも同然だった。春に山菜採りの季節が始まると、森の恵みで暮らしていた。森のことをよく知っていて、毎日通っていた」そう話すユリア・マルコワさんは、クマへの同情心が薄れたという。「最初はクマがかわいそうだと思っていた。「森に食べ物が足りないのだろう。木の実が不作で、ベリーも少ないのだろう」と。でも猟師たちに言わせれば、実際はそれほど哀れな状態ではなく、痩せてもいない。それなら、なぜこれほど多くのクマが集落に来るようになったのか。こんな大量の出没は、これまで一度もなかった」ロシアのメディアが伝えた専門家の見解によると、春の訪れが早く、乾燥していたため、餌となるベリーが不足し、クマはより遠くまで食べ物を探しに行かざるを得なくなった。一方、人間の側にも、安全上の注意を守らず、クマを引き寄せる生ごみを屋外に放置しているとの批判がある。クラスノヤルスク地方では、地方政府の環境当局が刑事事件の捜査対象となっている。同地方では、9月だけで7人がクマに襲われて死亡した。捜査当局は、環境当局がクマの生息数を適切に管理しなかったと指摘している。一方ロシア環境省は、問題を小さく見せようとしている。同省によると近年、クマによる襲撃は20─30件程度が通常の水準だが、SNSやスマートフォンの普及によって、こうした襲撃がより広範囲で起きているように見えるという。だが、ワレリア・エフレモワさんらポドテソボの住民の暮らしには、実際に影響が出ている。ポドテソボの住民 ワレリア・エフレモワさん「クマが森から出てくるようになってからは、公園に行くのも含め、外出をできる限り控えた。子どもたちが遊ぶ公園にもクマが来るので、本当に怖かった。暗くなってから外に出るなんて、とても考えられなかった。公園を散歩するのも、本当に久しぶりだと思う」ウラジーミル・ワギンさんは、ラズベリーが育つ自宅の庭にも、もう出なくなった。夜はさらに外出が怖くなるという。ポドテソボの住民 ウラジーミル・ワギンさん

「今、集落を車で回っているが、暗くて誰も外にいない。クマが集落に来るのを恐れて、人々は外出しない。いつ来てもおかしくないからだ。だから通りはこんなに閑散としている。人はおらず、車だけだ」

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