トランプ氏、イランでの目標達成に近づくと 米軍は地上部隊派遣を検討か

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画像説明, ホワイトハウスで記者団を前にするトランプ氏。後ろにルビオ国務長官(20日、ワシントン)

ドナルド・トランプ米大統領は20日、イランでの目標達成に近づいているため軍事行動の縮小を検討しているとソーシャルメディアで書いた。他方、米CBSは複数の消息筋の話として、米軍はイランに地上部隊を派遣する可能性に向けて詳細な計画を立てていると伝えた。石油輸送の要衝ホルムズ海峡の警備をトランプ氏が「海峡を利用する他の国々」に要求していることについては、イギリスが同日、同海峡を攻撃するイランの標的をアメリカが攻撃するにあたり、イギリス軍基地の使用を認めると決定した。

トランプ大統領は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「目標達成に非常に近づいており、イランのテロリスト体制について、中東での偉大な軍事行動の縮小を検討している」と書いた。

ホルムズ海峡については、「海峡を利用する他の国々が必要に応じて守り、警備しなくてはならない。アメリカは使っていない!」として、「求められれば、我々はホルムズでの各国の取り組みを支援する。しかし、イランの脅威が排除されれば、その必要はないはずだ」とも書いた。

これに先立ち、週末をフロリダ州で過ごすためにホワイトハウスを離れる際、記者団を前にしたトランプ氏は、イランの軍事力はすでに「壊滅」しているので、ホルムズ海峡の警護は「簡単な軍事行動」だと繰り返しつつ、「艦船が必要だという意味では支援が必要で、NATOはこちらを助けられるが、これまでのところそうする勇気がなかった」と述べた。

さらにここでも、アメリカはホルムズ海峡を必要としていないと事実と異なる主張をし、また日本と中国を名指しして「その国々が参加できるといいんだが」と述べた。

イギリス政府が、ホルムズ海峡警護のためのイラン攻撃に英軍基地の使用を米軍に認めると決めたことについては、「イギリスについては正直言って、少し驚いた。もっとずっと早くに行動すべきだった」とトランプ氏は述べ、イギリスへの評価を特に好転させたわけではないと示した。

この前に出席したこの日の式典でトランプ氏は、米軍が「イランで非常に素晴らしい成果」を出していると述べ、イランには「もう海軍がない」と主張。政府首脳は「もういない」と述べた。

「あそこではもう誰も指導者になりたがらない」、「我々は向こうと話がしたいのだが、話をする相手がもう誰もいない。それはこちらには好都合だ」とも、トランプ氏は話した。

他方、BBCがアメリカで提携するCBSニュースは同日夜、複数の匿名消息筋の話として、米地上部隊のイラン投入の可能性に備えて米国防総省幹部が詳細な準備を進めていると伝えた。

CBSによると、2人の消息筋は、米軍がイラン国内に展開した場合、イラン兵士をどのように拘束するかも検討していると話した。

これに先立ちトランプ氏は同日午後、集まった記者団に、どこへも地上部隊を送る予定はないと発言していた。一方、「もし送るつもりでも、君たちには言わない」と付け加えた。

複数のメディアは、アメリカが数千人規模の海兵隊員と水兵を中東に追加派遣すると、匿名当局者の話として伝えている。

米メディアによると、米政府当局者は、カリフォルニアを拠点とする強襲揚陸艦ボクサーと第11海兵遠征部隊から、約2500人の海兵隊員が中東へ向かうと話している。

ロイター通信によると、この西海岸からの派遣は予定より3週間早まったと当局筋は話している。

国防総省は報道された部隊移動について、BBCの問い合わせに回答していない。

中東での米軍作戦を統括する米中央軍は、今後の部隊展開について仮定で話すことはしないと述べた。

トランプ氏は同日、「合衆国がいなければNATOは張り子の虎だ。彼らは核保有国となったイランを止めるための戦いに、加わろうとしなかった」と「トゥルース・ソーシャル」に書いた(以下、太文字は原文ではすべて大文字)。

「その戦いに軍事的に勝利した今、彼らにとって危険はほとんどないにもかかわらず、支払わされている高い原油価格について彼らは不満を言い、ホルムズ海峡を開くという簡単な軍事行動を手伝おうとしない。それが、高い原油価格の唯一の理由なのに」と、トランプ氏は書いた。

さらに、NATO加盟国にとって「非常に簡単にできるし、リスクもほとんどない」ことだとして、「臆病者め。こちらは覚えておくぞ」とも書いた。

こうしたなかでイギリス政府は同日、ホルムズ海峡を標的とするイランの拠点を米軍が攻撃する際、イギリス軍の基地を使うことを承認した。

首相官邸はこれまで、イギリスの利益や生命を危険にさらすイランのミサイル発射を阻止するための作戦について、米軍による英軍基地の使用を認めていた。

しかし、スターマー政権は閣議で、米軍による英軍基地の使用範囲を、ホルムズ海峡での船舶保護まで拡大できると合意した。

イギリスは引き続き、攻撃そのものには直接関与しない。首相官邸は、「この紛争に対するイギリスの姿勢の基本原則は変わらない」と述べている。

官邸報道官は、英軍基地を「ホルムズ海峡で船舶を攻撃するために使われている能力」を標的とする「アメリカの防御的作戦」に使用できると、閣議で合意したと述べた。閣僚たちは、「緊急の緊張緩和と迅速な戦争終結の必要性を強調した」とも付け加えた。

イギリスのこの決定について、イランのアッバス・アラグチ外相はソーシャルメディアに、「イギリス国民の大多数は、イスラエルとアメリカが選んでそうしているイランとの戦争への関与を望んでいない。自国民を無視し、スターマー氏は、イランへの侵略にイギリスの基地を使用させることでイギリス国民の命を危険にさらしている。イランは自衛権を行使する」と書いた。

イラン外務省は、アラグチ外相がイギリスのイヴェット・クーパー外相と電話会談を行い、アメリカへの支援はどのようなものでも「状況のエスカレーションにつながる」と伝えたと発表していた。

イランからの批判に対してイギリス首相官邸は、イギリスは「戦争全般に巻き込まれていない」と反論。

「我々の立場は非常に明確だ。イギリスは最初の攻撃に参加していないし、戦争全般に巻き込まれていない。我々は、イランの継続的で言語道断な攻撃に対応するため、特定の防御的かつ限定的な目的に限り、アメリカによるイギリス基地の使用を認めた。私たちがかねて述べてきたように、これは差し迫った脅威を排除し、外交への道を取り戻す最良の方法だ」と、官邸は述べた。

バーレーン国営通信BNAによると、バーレーンはホルムズ海峡を通航する船舶の安全確保を支援する共同声明に加わった。

日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの6カ国は19日、「我々は、ペルシャ湾においてイランが非武装の商業船舶に対して行った最近の攻撃、石油・ガス施設を含む民間インフラへの攻撃、およびイラン軍によるホルムズ海峡の事実上の閉鎖を、最も強い言葉で非難する」という共同声明を発表

バーレーンはこれに参加すると表明した。これまでにほかに、カナダ、大韓民国、ニュージーランド、デンマーク、ラトビア、スロベニア、エストニア、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、チェコ、ルーマニア、リトアニアが、共同声明に同調している。

参加国は「イランに対し、脅迫行為、機雷の敷設、ドローンおよびミサイル攻撃、ならびに商業船舶の航行を妨害するその他一切の行為を直ちに停止」するよう求め、「ホルムズ海峡における安全な航行の確保を目的とした適切な取組に貢献する用意がある」と表明している。

この重要な航路を守る取り組みが具体的に何を伴うのか、またその時間枠については、まだ明らかになっていない。

この間、湾岸諸国では、ドローンおよびミサイル攻撃が再び報告されている。

サウジアラビア国防省は、同国東部地域でドローン6機を迎撃し破壊したと述べた。

アラブ首長国連邦(UAE)の国防省は、イランから飛来したミサイル攻撃およびドローンに「現在対処している」と発表。ドバイ当局は、「市内の一部で聞こえた音は、迎撃が成功した防空作戦によるものだ」と述べた。

クウェート国防省も「敵対的なミサイルおよびドローン攻撃に対処している」と述べた。

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画像説明, イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師の肖像画を掲げる人たち。行進する人たちは、17日にイスラエルによって殺害されたイランの国家安全保障最高評議会(SNSC)のアリ・ラリジャニ事務局長と、民兵組織バスィージのゴラムレザ・ソレイマニ司令官の葬儀に参列した(18日、テヘラン)

イラン国営テレビは同日、イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師が、ペルシャ歴の新年祭ノウルーズにあたり出した書面メッセージを読み上げた。

9ページにわたるメッセージの中でハメネイ師は、イランは今年すでに3つの戦争を経験したと述べた。一つ目は6月のイスラエルとの戦争、二つ目は現在の戦争、三つ目は体制に反対する抗議運動だとして、体制支持デモに参加した人々を称えた。さらに、最近の戦争で死亡した自分の父、アリ・ハメネイ師を思いながらノウルーズを祝うよう国民に求めた。

モジタバ・ハメネイ師は、父が2月28日に死亡したことを「愛する指導者の殉教という悲劇」だと位置づけ、今年のスローガンは「国民的団結と国家安全保障の影の下での抵抗経済」だと表明した。

近隣諸国については、イランは東側の隣国を「非常に近い存在」と捉えていると述べ、パキスタンは父が「特別に好んでいた国」だと名指しした。さらに、パキスタンとアフガニスタンの関係改善を求め、自身としても「必要な措置を取る準備がある」と述べた。

湾岸諸国への攻撃については、「トルコやオマーンという、我々と良好な関係にある両国の一部地域に対して行われた攻撃は、イスラム共和国の軍や関連組織によるものでは一切ない」と主張。イスラエルがイランと近隣諸国の間に亀裂を生じさせるための「策略」を用いたのだと非難した。

この新年の声明は、父ハメネイ師によるものと様相が大きく異なる。故ハメネイ師は通常、カメラの前で新年のメッセージを読み上げていた。

モジタバ・ハメネイ師は今月初めに父の後継者として選ばれて以来、直接姿を見せておらず、近影の映像も写真も公表されていない。イランのメディアはこれまで、書面のメッセージしか伝えていない。

米財務省は、現在海上にあるイラン産石油に対する制裁を一時的に解除し、石油価格抑制のために大半の国への販売を可能にすると決定した。

スコット・ベッセント財務長官は20日、ソーシャルメディアで、この「短期的な承認」により、約1億4000万バレルの石油が世界市場に出回ることになると述べた。

長官はそのうえで、イラン産石油の販売によって得られる利益をイランが得るのは難しくなるとも書いた。

この承認は「あくまですでに輸送中の石油に厳格に限定され、新規の購入や生産は認めない」と長官は説明し、「要するに、価格を抑えるためにイランのバレルをテヘランに対して利用することになる」と書いた。

戦争開始以降、中東のエネルギーインフラがイランに攻撃され、石油とガスの価格は急騰している。

ブレント原油価格は20日に1バレルあたり約112ドルを維持しており、前日比3%上昇、前年同期比で53%の上昇となっている。

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