人類最古のペスト流行は5500年前と判明、鍵はシベリアのマーモット 2019と2020年にも犠牲者
モンゴルのホスタイ国立公園で、巣穴の近くにいるシベリアマーモット。(Hemis/Alamy)(Hemis/Alamy)
知られている限り、人類で最古のペスト流行は、ロシア、シベリア南東部のバイカル湖の近くで起きていた。英オックスフォード大学のルアイリ・マクラウド氏が率いる研究チームは、約5500年前にこの地域の墓地に埋葬された狩猟採集民に、ペスト菌の存在を示す証拠を発見したという論文を2026年6月17日付けで学術誌「ネイチャー」に発表した。
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この狩猟採集民たちは地域に生息するシベリアマーモット(Marmota sibirica)からペストに感染した可能性が高いとマクラウド氏は言う。マーモットはネコほどの大きさの、穴を掘って暮らすジリスの一種で、その関与を示す考古学的な裏付けもある。バイカル湖周辺で起きたペスト流行と同じ地域の墓地から、マーモットの門歯(前歯)が数百個見つかっているのだ。その長く湾曲した門歯は装飾品として珍重され、副葬品として埋葬されたとみられる。「マーモットは、ヒトと密接な関わりがあったことを示す明確な考古学的証拠がある、唯一のペスト媒介動物です」とマクラウド氏は言う。
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その地下世界から、人間が築いた帝国を揺るがす災厄が生まれた。 ペスト菌は、数千年前に腸内にすむ近縁の細菌から分かれた。そしてバイカル湖周辺で見つかったペスト菌株には、まだ最も重要な道具が備わっていなかった。ymt遺伝子だ。一方、別の研究では、約3800年前の菌からこの遺伝子が確認されている。 ymt遺伝子は、ノミの腸でペスト菌が生き延びるのを助ける。結果的に、菌を媒介できる宿主の範囲が大きく広がり、ヒトへの感染が起こりやすくなった。
ペスト菌は粘液の栓でノミの腸を塞ぐことが知られている。するとノミは飢餓状態になり、温かいものなら何でも、手当たり次第に何度も咬むようになる。こうして動物の病気がヒトに広がってゆく。また、ステンセス氏の研究チームは、げっ歯類やノミが減った時期には、ノミの腸をよりしっかりふさぐ型のペスト菌が選択されてきた可能性もあるという。