永久凍土から5万年前の「ゾンビウイルス」が復活 地球の氷河期を経て、温暖化が掘り起こす古代の脅威とは
永久凍土の下で眠っていた4万8500年前のウイルスが、実験室で再び“目覚めた”ことが発表されています。科学者たちが警鐘を鳴らす、地球温暖化が引き起こす未知のリスクとは一体どのようなものなのでしょうか。
■ 氷の墓からよみがえる“ゾンビウイルス”
研究チームが復活させた古代のアメーバ食ウイルスの一部 出典:Alempic 20232023年、フランスの研究チームは、シベリアの永久凍土から採取した土壌サンプルから、数万年前のウイルスを復活させることに成功しました。
最も古いウイルスは、およそ4万8500年前のもので、16メートル地下の凍結された湖底から発見されました。その他にも、マンモスの毛や胃の内容物が含まれた2万7000年前のサンプルからも複数のウイルスが分離されています。
永久凍土は、北半球の約5分の1(アラスカ、カナダ、シベリアなど)を覆う、何万年もの間凍結された地層です。その低温・無酸素・無光の環境は、古代のウイルスや細菌を完璧に保存してきた“地球の冷凍庫”と言えるでしょう。
しかし現在、北極圏の気温は急激な速度で上昇しており、永久凍土の融解が加速しています。これにより、閉じ込められていたウイルスや有害物質が地表へと流出するリスクが現実のものとなっているのです。
■ 未知のウイルス、未知の感染症
氷河期の人類のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)今回の研究では、複数の永久凍土の地点から採取したサンプルに含まれるウイルスを分離したところ、新種のウイルスファミリーが発見されているとのことです。
これらのウイルスの多くは、「アメーバに感染するDNAウイルス」であり、人間や動物には感染しないものが選ばれています。しかし、この事実は同時に、より複雑な宿主に感染するウイルスが永久凍土内に存在している可能性も示唆されているのです。もし何万年も接触のなかったウイルスが復活した場合、人類の免疫系では適応できない可能性もあります。
実際、2016年のシベリアでの炭疽菌感染の再発は、融けた永久凍土から古い動物の死体とともに病原菌が蘇った可能性も指摘されています。さらにこれらの新種の微生物が、土壌組成を変えたり、植物の成長サイクルに影響したりすることで、結果的に気候変動をさらに加速させる可能性も考えられるのです。
今回の発見は、映画のようなウイルスパニックをただ煽るものではありません。むしろ、知識によって前もって対策を講じることも可能です。「封印されたカプセル」である永久凍土に対する最大の対策は、気候変動そのものの緩和に他なりません。みなさんはこの事実に対してどのようにお考えになりますか?ぜひコメントお待ちしています。
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