体長40cmの巨大ナナフシが発見される
昆虫が大丈夫な方はぜひ動画を再生して見てみてください!
オーストラリアは、他では見られないユニークな生き物の宝庫と呼ばれています。中には、特大サイズの生き物まで。今回、発見されたナナフシは、研究者たちがオーストラリア最大の昆虫かもしれないと考えるほどのサイズだったんです。
ボウリングのピンほどのデカさ
この昆虫はAcrohylla altaと名付けられ、長さは約40cm、ちょうどボウリングのピンくらいの高さです。体重は約44g。これは重めのゴルフボールよりわずかに軽いくらい。Zootaxa誌に掲載された論文で、野生生物研究者のAngus Emmott氏とRoss Coupland氏が、この新種について詳細に書き記しています。2人ははこの巨大ナナフシを、オーストラリア北東部の標高900メートルの高地アサートン高原の熱帯雨林で発見しました。
Video: Guardian Australia / YouTube写真を頼りに捜索
発見のきっかけは、正体不明の生物の不思議な写真が届いたことでした。その写真に写っていた生き物を確かめるために、2人はアサートン高原へと向かいました。ナナフシは昼間は鳥に狙われやすいため夜に活動が活発になります。2人は夜に捜索を行ない、何時間も森林を探し回った末、ようやく写真の生物と一致する、細長い姿の昆虫を発見しました。
Image: James Cook Universityそっと観察を続けたところ、そのメスのナナフシは、これまでに見たことのない形の卵を産んだのです。この時点で2人は「これはまったく新しい種に違いない」と確信したと、Emmott氏はオーストラリア放送協会(ABC)の取材に答えています。
Image: © Angus Emmott発見されているのはたった2匹
これまでに科学者が確認したAcrohylla altaの個体はわずか2匹。ひとつは今回の調査で見つけたもの、もうひとつはEmmott氏の友人の庭で偶然発見されたものです。研究者たちは、この巨大ナナフシは極めて見つけにくく、高地の森林の木の上部に生息していると考えているとのことです。「鳥が落としたり、嵐で地上に落ちてこない限り、木の上にいる巨大ナナフシを見つけるのは不可能なんです」とEmmott氏は語っています。
では、どうしてここまで大きくなったのでしょうか? Emmott氏は、冷涼で湿った環境に生息しているためではないかと見ています。体が大きいことで、低温にも耐えられるようになった可能性があると大学のリリースで述べています。
ジェームズ・クック大学の環境科学者のPeter Valentine氏は、「新種の発見はいつだってワクワクすることですが、それと同時に、私たちがどれほど熱帯雨林を守れているのかという懸念も呼び起こされるものです」とABCの取材に対してコメントをしています。
見つけられることなく絶滅している種も
今回の発見をしたEmmott氏も同じ思いを抱いているようで、 「怖いのは、存在すら知らない種を、私たちが絶滅させてしまっているかもしれないということです。無脊椎動物の世界では、まだ知られていないことが山ほどあり、未記載の種も無数に存在します」と語っています。
今のところ、Emmott氏はこの種のオス個体も発見したいと話しています。もし見つかれば、この巨大なナナフシの謎が解明されるかもしれません。