山内総一郎、誕生日ライブで未発表曲とともに明かした決意「フジファブリックだという誇りを胸に」(ライブレポート / 写真15枚)

山内総一郎が自身の44歳の誕生日である10月25日に、東京・昭和女子大学人見記念講堂にてワンマンライブ「OCTOBER SONGS」を開催した。

フジファブリック活動休止を経て、7月に開催したライブ「The Hole In The Wall」でソロアーティストとしての新たな一歩を踏み出した山内。10月22日にはソロとして初のシングル「GOOD FELLOWS」「旅にでる」をリリースしたばかりだ。今回のバースデーライブではシングル曲や7月のライブで演奏した楽曲に加えて新たな未発表曲も多数披露し、制作活動の充実ぶりをファンに印象付けた。

また今日生まれ直すような気持ち

開演時刻を迎えたステージに、オープニングSEもないまま山内とサポートメンバーの大樋祐大(Key / SANABAGUN.)、砂山淳一(B)、伊藤大地(Dr)が登場。大きな拍手に迎えられた彼らは1曲目としていきなり未発表曲「ぶらんにゅーでい」を披露して観客を驚かせた。この曲はプログレのテイストを取り入れたロックチューン。イントロで山内がアグレッシブなギターソロを奏でる中、ステージ後方には山内のプロジェクト「A-UN」のロゴを象った電飾が現れ、4人の演奏を華々しく彩った。

7月のライブでも披露した楽曲「あやかし音頭」で幻想的な雰囲気を高めたあとは「風を切る」をさわやかに聴かせる。ここで山内は「今日10月25日で44歳になりました! まさに“幸せ”です」と4本指を立てた両手を合わせてみせるが、困惑する客席を見渡して「……ちょっと何言ってるかわかんないですけど」と苦笑い。そして1曲目の「ぶらんにゅーでい」について「新しい1日へ進んでいこうという曲です。よかったでしょ?」と問いかけ、「バースデーライブというより、また今日生まれ直すような気持ちでステージに立たせてもらっています。今日、新しい夜を楽しみましょう」と笑顔を浮かべた。

その後、山内は7月にもお披露目済みの「ソラネコ」に続き、新曲「トワイライト・ワンダーランド」も演奏。シティポップ風のサウンドが印象的なミディアムチューンでまた新たな魅力を印象付ける。「Jasmine Flower」のアウトロではエレキシタールを奏でていた山内がエフェクターを細かく操作して、大樋、砂山、伊藤とのセッションを心から楽しんでいる様子を見せた。

山内のルーツを振り返るカバーメドレー

ここで山内は「自分の人生に影響を与えた曲」をカバーするとオーディエンスに告げて歓声を起こした。「ただ、物心付いたときに好きだった曲からやるととんでもない量になるやんか? カバーライブになっちゃうんで、それはUNISON SQUARE GARDENの斎藤(宏介)くんとやってる『山斎』のほうを観に来てください(笑)」と山内は語り、今回は“物心付いたときから~義務教育が終わるまでくらい”のメドレーを披露すると前置きした。

そのあとアコースティック形式でパフォーマンスされたメドレーの楽曲は、たま「さよなら人類」、荒井由実「ルージュの伝言」、B.B.クィーンズ「おどるポンポコリン」、スピッツ「チェリー」、ウルフルズ「ガッツだぜ!!」の5曲。山内のはつらつとしたボーカルが、各楽曲に対するリスペクトを感じさせるひとときとなった。歌い終えた山内は各曲に対する思い入れやエピソードを明かしたのち、「長年愛される曲はすごいなと。自分も皆さんにずっと口ずさんでもらえる曲を作りたいです」と意気込んだ。

直後に披露された新曲「スロウダンス」は、山内の言葉どおりに長く親しまれそうな温かみのある3拍子のナンバー。伊藤と砂山が刻む心地よいリズムに観客が身を委ねたのち、7月のライブでも大きな山場を作った楽曲「海に来てしまった」が届けられる。歌詞に描かれた時間の移ろいを示すように、ステージの照明も青から白、オレンジへとゆったりと変化していき、オーディエンスの感動を増幅させた。

自分はフジファブリックだという誇りを持って

ここで山内は2022年3月に、フジファブリックの活動と並行してリリースしたソロアルバム「歌者 -utamono-」について語る。山内はバンドのために作ったというこのアルバム、そして当時の自らが「まぶしくて」なかなか聴き返せなかったと明かし「活動を休止した2月からの間は生きる目的を失ったようで。皆さんと同じだったかもしれないけど、聴き直すことで『込められた魂は変わっていない』という思いが自分の中で大きくなりました」と告白。そして「それを言葉で表現したいと思って。今回『新曲多すぎるやろ』というライブですけど(笑)、自分はフジファブリックだという誇りを持って、それを胸に仲間やあなた方と走り続けたいと思っています」と、今回のライブに込めた思いを熱く語った。

本編終盤で山内は「歌者 -utamono-」の楽曲や最新シングル曲「GOOD FELLOWS」に続き、さらなる未発表曲「BANBANZAI!!」を披露した。繰り返されるタイトルフレーズや、コミカルに韻を踏む歌詞が印象的なこの曲を歌ったあと、山内は「『何この曲?』って感じですよね(笑)。またいろんな曲をリリースできたら」と今後の展開に意欲を見せ、「この曲を作ったときは出口のないどこかにいるような感じだったけど『人間やし、しゃあないよな』と慰めるつもりで書いた一言が背中を押してくれました。自分のペースでいつまでも、どこまでも並走していきましょう」と言葉を添え、テレ東系ドラマ「晩酌の流儀4 ~秋冬編~」オープニングテーマとして放送中の新曲「人間だし」で本編を締めくくった。

皆さんが来てくれたことが最高のプレゼント

アンコールで山内は2026年4月に公式ファンクラブ限定ライブとワンマンライブを開催することを発表。会場が喜びの声に沸く中でサポートメンバーを順に呼び込むが、大樋に続いては砂山と伊藤がサプライズの大きなバースデーケーキを携えて現れた。大樋が奏でる「Happy Birthday to You」に合わせてろうそくの火を吹き消した山内は「どこにあんなデカいケーキ隠してたんだ?」と照れ笑い。そして「皆さんが来てくれたことが最高のプレゼントです」と感謝を述べ、その思いを表すためにさらなる新曲を届けると明かした。

「選択肢が多い世の中ですけどすべて自分でチョイスするのは難しい。その中で今日、Oasisのライブに行くチョイスもあったのに(笑)来てくれたように、自分の生き方だけは自分で選んだほうがいい。そんな思いで作った曲です」と山内が紹介した新曲のタイトルは「あなたのうた」。自分らしく生きてほしいという思いを歌ったミディアムバラードで観客に感動をもたらした。「彗星たちのカンタータ」の壮大なアンサンブルに続き、山内は自らの誕生日ライブを作り上げたスタッフやサポートメンバー、集まったファンに改めて感謝を述べる。そして「もっと遠くへ、ずっと遠くへ夢を追いかけていきましょう!」と笑顔で呼びかけ、ラストナンバー「旅にでる」を高らかに鳴らした。

アンコールで発表された来年4月のライブのチケットは山内の公式ファンクラブにて、11月10日まで最速先行予約を受付中。また10月29日にはライブでも披露された新曲「人間だし」が配信リリースされ、同日20:00にはYouTubeにてミュージックビデオが公開される。このほかYouTubeでは今回のライブのアフタームービーも公開中。

この記事の画像・動画(全16件)

セットリスト

山内総一郎バースデイライブ「OCTOBER SONGS」2025年10月25日 昭和女子大学人見記念講堂

01. ぶらんにゅーでい02. あやかし音頭03. 風を切る04. ソラネコ05. トワイライト・ワンダーランド06. Jasmine Flower07. カバーメドレー08. スロウダンス09. 海に来てしまった10. 地下鉄のフリージア11. GOOD FELLOWS12. 最愛の生業13. BANBANZAI!!14. 人間だし<アンコール>15. あなたのうた16. 彗星たちのカンタータ

17. 旅にでる


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