早稲田や慶応の“高学歴エリート大学生”が、女性を“風俗漬け”にする「違法スカウトグループ」に加入…いったいなぜ? 現役メンバーが告白した、組織の知られざる実態
警察が“最凶”と恐れるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」。2000人ものスカウトたちが路上やSNSで女性を狙い、次々と風俗店へ送り込む。独自の「闇アプリ」で支配された組織は、年間数十億を稼ぎ出し、裏切り者には凄惨なリンチを加えるという。暴力団や警察官までも飲み込む、この地獄のような組織の実態とは――。 【衝撃画像】筋肉ムキムキでイカツすぎる…違法スカウトグループ「ナチュラル」の会長を写真で見る ここでは、組織の実態に迫ったルポルタージュ『 捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇 』(著=清水將裕・日本橋グループ*、講談社)より一部を抜粋。「ナチュラル」の現役メンバー・佐伯(偽名)が語った組織の内情を紹介する。( 2回目 に続く) ◆◆◆
取材チームがナチュラルについて取材を始めたのは、2024年の終わり頃である。前年の2023年に、警察庁は「SNSなどを通じ緩やかな結びつきで離合集散を繰り返して犯罪を行う集団」が急増しているとして、新たにそうしたグループを「匿名・流動型犯罪グループ」通称「トクリュウ」と名付けると発表した。 トクリュウは、暴力団などとは異なり、構成員が流動的でメンバーの匿名性が非常に高いのが特徴だ。それまでも、半グレと呼ばれる反社会的な集団は存在していたが、その進化版ともいうべきもので、警察庁は「現代社会において、治安を脅かす新しい存在」と位置づけ、警察庁長官の号令の下、全国の警察に実態の解明や取り締まりの徹底を指示した。 ナチュラルも、このトクリュウと定義される組織だが、その実態は警察当局も含めてほとんど把握できていなかった。
この謎の多い組織に、我々は複数のルートでアプローチすることにした。1つは、彼らが使用している「闇アプリ」の解析である。「ナチュラルと言えばアプリ」と一部では言われているほどで、アプリの存在は関係者には知れ渡っていた。 アプリ内ではリアルタイムで情報が更新され、組織中枢から次々に指示が出される。その内容を把握することはナチュラルの実態を摑むうえで不可欠であった。 そしてもう1つ。もっとも重要で、かつもっとも難航したのが現役で活動しているメンバーへの直接取材である。 しかしもともと組織内の統制や情報管理が非常に厳しいうえに、ナチュラルをはじめとしたスカウトグループに対する近年の警察の包囲網もあって、現役メンバーでなくとも、彼らを知る関係者に接触することすら難しかった。すでに組織を離れた元メンバーでさえ、「話すことはない」として、取材に応じてくれることはなかなかなかった。 ナチュラル関連の取材を始めて5ヵ月ほど経った頃、裏の稼業に精通しているある知人から連絡が入った。数年間在籍しているという現役メンバーが、対面での取材に応じてくれるかもしれないという。 それが佐伯だった。
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佐伯は、もともとは、大学生の時に友人を通じて誘われたのがきっかけで組織に入ったという。いまは、スカウトの収入だけで生活している「専業」である。 「最初は、仕事がスカウトだということもよく分かっていなかったのですが、友人と一緒に誘われるままにとりあえず説明を聞きに行ったという感じですね。先輩を通じて『おカネ稼げる仕事あるから。ちょっとだけでも顔出しなよ』みたいなことを言われて、都内のある場所まで行きました。 まあ、とりあえず内容を確認してみて、割のいいアルバイトになればいいかなくらいの軽い気持ちでしたね。ただ、そこにいた相手の方はけっこう強引というか、ざっと説明したあとで、こっちがまだほとんど何も言っていないのに、『もうウチらのとこ入るしかないっしょ』みたいな感じで言われて……。 そのとき、飲み屋さんみたいなところで話を聞いていたんですが、向こうの人に結構なご飯とか飲み物をご馳走になっている状況だったので、話をしているうちにその場で断って帰るというのは、ちょっと気まずいなと。 それで、だんだん入るしかないみたいな雰囲気になってしまって、もうそのまま流れでという感じで。最悪、嫌になったらやめればいいだろうという考えでしたね……。結局、自分も含めてその場にいた同じ大学の学生3人が、ナチュラルにとりあえず入るみたいなことになりました」
佐伯は当時、偏差値が高く誰もが知る有名大学に通っていた。高校時代も含めて警察の世話になるようなこともなく、華やかなテニスサークルなどにいそうなスマートなタイプだった。 ナチュラルのいわゆる現場のスカウトたちは、不良上がりのヤンチャなタイプもいることはいるが、実は佐伯のような「普通っぽい」若者が多くを占めている印象だ。これまでの取材で、組織内には有名大学の学生や出身者が多く在籍していることが分かっている。
早慶をはじめ、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)、関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)クラスの錚々たる学校名が並び、なかにはある大学のサークルのメンバーが、ほとんどこぞって加入しているケースもあった。 「現役の大学生も結構いますよ。あとは学生時代に組織に入って、卒業後も企業などに就職せずスカウトの仕事を続けているパターンが多いですね。最近はスカウトといっても路上ではなくSNSや紹介で女性を集めることも多くなっていますし、昔のイメージの、押しが強い典型的なスカウトタイプはむしろ少ないかもしれません。イケてるビジネスマンのような見た目の人もいます。 女性の相談に乗りながら、一番フィットしそうな風俗店などを提示して話をまとめて店に送り込むという、内容的には営業職やコンサルみたいな仕事と重なる部分もあると思いますね。自分で言うのもあれですが、けっこう頭を使わないとできない仕事かなと思います」
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スカウトというと、マンガ『新宿スワン』に出てくるようなキャラクターで、高校時代に不良で売っていたようなタイプをイメージしがちだが、特にここ数年でそのキャラクターは大きく変化したという。 路上で声をかけるスカウト行為は、風俗営業法や各自治体の条例で年々厳しく規制されるようになり、警察も繁華街でのパトロールや職務質問などを強化するようになっている。さらにSNSの急速な普及によって、そもそも路上で声をかける方法から、ネット上で集める手法に徐々にシフトしていっているのだ。 「自分もそうでしたけど、学生の場合は最初は割のいいバイトという感じで、あまり深く考えずに入ってくる人がほとんどじゃないですかね。高校でヤンチャしていたようなタイプもいることはいますが、むしろ最近はビジネスで稼ぎたいとか、SNSの運用で収入を得るとか、そういうタイプが多いかもしれないですね。 学生で羽振りがいいとモテますし、稼いでいるという優越感みたいなものもありますので。でも組織に入ってある程度時間が経つと、抜けられなくなるんですよ」 このときは、佐伯が発した「抜けられなくなる」という言葉の意味がよく分かっていなかった。しかし、ナチュラルという得体の知れない組織の取材を進めるにつれて、我々はその本当の意味を知ることになる。 「月の稼ぎは300万円」「おいしい仕事」女性を次々と“風俗漬け”にして荒稼ぎ…ナンパ経験すらない“高学歴エリート男性”が「違法スカウト」にハマったワケ へ続く
清水 將裕,日本橋グループ*/Webオリジナル(外部転載)