NY外為市場=ドル上昇、トランプ氏の強硬姿勢で安全資産に買い

ニューヨーク外為市場では、ドルが対ユーロでの一時の下落から回復した。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[ニューヨーク 27日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、ドルが対ユーロでの一時の下落から回復した。トランプ米大統領がカナダとの貿易交渉を突如打ち切ったほか、イランを再度攻撃することを検討すると表明したことで、リスク回避の動きが強まった。

序盤の取引では、米経済指標で景気減速の兆しが示されたことで連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が高まったことを背景に、ドルは対ユーロで3年半ぶりの安値を付けていた。

トランプ大統領はこの日、カナダが米テクノロジー大手に課すデジタルサービス税は「米国に対する直接的かつ露骨な攻撃」だとし、カナダとの貿易協議を突然打ち切り、今後1週間以内にカナダ製品に新たな関税率を設定すると表明。イランについては、懸念される水準までウランを濃縮している場合は再爆撃も検討すると述べた。

フォレックスライブのチーフ外為アナリスト、アダム・ボタン氏はトランプ氏のこうした言動について「トランプ氏がいかに予測不可能であるか、また、市場に織り込まれているあらゆる前提が瞬時に覆される可能性があることが改めて浮き彫りになった」と指摘。「条件反射的にドルが買われたが、混乱が収まればこうした動きは巻き戻される可能性が高い」とし、「貿易戦争はドルに対する重しになっている」と述べた。

この日発表の米経済指標では、5月の個人消費支出(PCE)価格指数が前年比2.3%上昇と、前月の2.2%からやや加速。物価の「瞬間風速」を示す前月比では0.1%上昇し、伸びは前月から横ばいだった。
前日発表の週間新規失業保険申請件数では、6月14日までの1週間の継続受給件数が2021年11月以来の高水準だったほか、第1・四半期の国内総生産(GDP)確報値は年率換算で前期比0.5%減と、個人消費の大幅な下方修正を反映し、改定値の0.2%減から下方修正された。

DRWトレーディング(シカゴ)のストラテジスト、ルー・ブライエン氏は「ここ数日間に発表された米経済指標の一部は、特に良好とは言えない」としている。

こうした中、FRBによる利下げ観測が高まっており、市場が織り込む年末までの利下げ幅の予想は65ベーシスポイント(bp)と、1週間前の46bpから拡大した。

終盤の取引で、カナダドルは対米ドルで0.5%安の1.37カナダドル。

主要通貨に対するドル指数は97.36とほぼ横ばい。ただ週初からは1.4%下落し、週間の下落率としては5月19日以来の大きさとなった。

ユーロは0.05%高の1.1705ドル。一時は2021年9月以来の高値となる1.1754ドルを付けた。週初からは1.57%上昇。5月19日以来の大幅な上昇となった。

ドル/円は0.19%高の144.65円。ただ、週初からは0.94%下落。5月19日以来の大幅な下落となる。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは0.86%安の10万6879ドル。

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