「アメリカでは食わないよ」日本で促された"謎の肉" 「何の肉かは知らされなくて…」食べてびっくり

 海外を旅すると日本と大きく異なるのが食事だ。世界には日本ではペットとしてかわいがられている犬やモルモットを食べる国も存在する。同様に、日本では当たり前になっている食文化に「信じられない」と驚きを覚える人もいる。5月に来日したアメリカ人のディーン・サイモンさんに今でも忘れられないという食体験を聞いた。

 フロリダ州タンパに住むディーンさんは約10日間の日程で、家族5人で日本を旅行した。

 3人の子どもは日本は初めてだったが、サイモンさんにとってはなじみ深い国だ。かつて「ディーン・マレンコ」のリングネームでプロレスラーとして日本全国を巡業。今でも多くの友人・知人がおり、“第2の故郷”のような場所となっている。

 以前頻繁に通っていた杉並区の中華料理店を訪れると、高齢の店主は涙を流して出迎えくれた。

「昔から京王プラザホテルに泊まっていて今回も泊っている。建物がいろいろ変わったりしているけど、いい思い出だ」と、実感を込めた。

 東京のほか、京都や富士山など有名観光地を回った。

「富士山の頂上まで登ったんだよ」と言ったが、これは冗談だった。「昔ジョー樋口(レフェリー)に誘われたけど、1回も登ったことがない」。64歳になったとはいえ、元レスラーの肉体は健在。家族とともに富士山が近くに見える場所に行き、神社に参拝したそうだ。

 食事は、日本の名物を堪能した。

「焼き鳥も焼き肉も食べたけど、毎日ライス、ライス、ライスでごはんに飽きてきたよ(笑い)」

 マグロが大好きで、すし屋で何度もはしを伸ばしたが、ハプニングもあった。

「写真を見てマグロだと思って注文したら運ばれてきたのがトマトだったんだ」

 メニュー表の写真がよほど似ていたのだろう。しかも、よりによって3皿も頼んでしまったという。

 そんなディーンさんは、日本で忘れられない食の思い出があった。

「全日本プロレスに上がっていた時、ダイナマイト・キッドに促されて食べたんだ。何の肉かは知らされなくて、食べた後に説明があった。それは馬の肉だったんだよ」

 鮮烈な印象を与えたのは馬刺しだった。

 九州・熊本の名産で日本人にとっては親しみのある食材だが、ディーンさんは驚きを隠せなかったという。

「アメリカでは食わないよ。アメリカ人にとって馬は友達みたいなものなんだ」

 カウボーイに代表されるように、馬はアメリカの歴史に欠かせない動物。それを生のまま食べる国があるとは……。

「実際に食べてみたら味はおいしかったよ。馬は日本の地方の食文化だからね。ヒヒーン」


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