【実録】沖縄旅行中に「津波注意報」が出た話 / 鳴り響くスマホのアラート音…海沿いホテルで起きた出来事の一部始終

そのニュースを最初に知ったのは、ホテルの部屋だった。2025年7月30日午前、カムチャツカ半島付近で発生した地震の影響により、太平洋側などに津波警報が発表。なんと沖縄県にも津波注意報が出されたのだ。

ちょ、ちょっと待ってくれ……。今まさに家族で沖縄に来てるんだけど。しかも、泊まっているのは海の目の前にあるホテル。我々の沖縄旅行は一体どうなってしまうのか?

・沖縄1日目(7月28日)

思えば今回の沖縄旅行は、出発前から天候トラブル続きだった。前日7月27日の夜、一度は勢力を失った台風8号がまさかの復活。沖縄本島付近を通過するという事態に。

なんでも、台風が熱帯低気圧から復活するのは7年ぶりのことらしい。なぜ我が家が沖縄に行く日にピンポイントで奇跡が起きるのか? おかげで当日は朝から曇天模様。時折、バケツをひっくり返したようなスコールが降り注いだ。

とはいえ、ホテルのプールで遊ぶぶんには雨もあまり関係ない。むしろシャワーのようなものである。

夕方になると天気も回復し、ようやくキレイな海を見ることができた。その後はナイトプールを楽しんで、無事に沖縄初日は終了。

・沖縄2日目(7月29日)

翌日は晴れ、曇り、スコールと目まぐるしく天気が変わる一日に。この日もひたすらプールと海で遊んで過ごしたが、気温は東京よりも低く感じられ、海の水が少し冷たかった。

来る前は台風の影響が心配だったが、これなら特に問題なさそうだ。明日以降はさらに天気が回復するようなので、私(あひるねこ)もほっと胸をなでおろしたのだが……まさかあんなことが起きるとは。

・沖縄3日目(7月30日)

この日は移動日で、朝食会場から戻った私たちは荷物をまとめてチェックアウトの準備をしていた。すると突然、娘のためにつけていたNHKの教育番組がニュースに切り替わる。

記憶はやや曖昧だが、「カムチャツカ半島付近で地震」「日本の沿岸に津波警報・津波注意報」といった言葉がテレビから聞こえてきた。不穏な空気が漂う。

ただ、この時点では事態をそこまで深刻に受け止めていなかった。遠く離れた場所の出来事のように思えたのだ。しかし、しばらくするとスマホからアラート音が鳴り響く。

そう、沖縄でも津波注意報が発表されたのである。これには思わず二度見した。ロシアで起きた地震で沖縄に津波……? しかも、我々のホテルは海の目の前。いや、これは……大丈夫なのか?

テレビやSNSからは次々と津波関連の情報が流れてくるが、チェックアウトの時間も迫っていたため、とりあえず部屋を出ることに。館内の様子が気になるところ……と思いきや。

普通にみんなプールで遊んでいた。

思った以上にどこもかしこも通常運転だ。まあ、意外とそんなものなのかもしれない。

ホテルを後にした我々は、何かと話題の「ジャングリア沖縄」……の近くにある「DINO恐竜PARK やんばる亜熱帯の森」という施設へ。こちらも津波の影響など一切感じさせない実にのどかな雰囲気。恐竜大好きな娘と一緒にたっぷり楽しんだ。

次のホテルへ向かう頃には津波のことをすっかり忘れていたのだが、近くにある大型イオンに寄った際、この日2回目のアラート音が鳴った。

もちろん私だけではない。店内のほぼ全員のスマホが一斉にけたたましく鳴り響き、それがだだっ広いフロアに反響して恐ろしい爆音に。この音だけは、何度聞いても慣れることがない。

近くにいた20代くらいのカップルが店員さんと話しているのが聞こえてきた。どうやら沖縄に着いたばかりで、津波のことをまったく知らなかったらしい。今の音にさぞ驚いたことだろう。

こうしてホテルに到着した我々を待っていたのは、あまりにも絶望的なアナウンスだった。津波注意報の影響で海への立ち入りは禁止。さらに併設のプールも温泉も利用できないという。

そう、もはやただのビジホである。思わず我が家の不遇さを嘆いたが、それ以上に気掛かりなのが、あの若いカップルの今後であることは言うまでもないだろう。険悪な雰囲気になっていなければいいが。

せっかく雨が止んだというのに、ただ眺めるだけとは……。

唯一の救いは、街全体が完全に通常営業だったことか。というより、そもそも誰も津波のことを気にも留めていないようであった。

予約していたお店は、観光客や地元の人たちで大いに賑わっている。店内のモニターには津波関連のニュースがしきりに映し出されているものの、すべては喧噪にかき消され、何ひとつ意味をなしていない。その光景はどこかシュールですらあった。

結局その日は、ホテルの部屋でシャワーだけ浴びて就寝。「明日以降、どうなるんだろう……?」という不安は、消えることなく胸の内にくすぶり続けた。

・沖縄4日目(7月31日)

この日は朝から海で遊ぶ予定だったが、津波注意報が継続中で身動きがとれず。朝食をとりながら「どうする?」と妻と相談していると、午前9時すぎ、館内放送が流れる。

なんとこれからプールを解放するとのこと。あ、ありがたい……! というワケでさっそく娘を連れて外へ。しばらくパシャパシャ遊んでいると、周囲がザワつき始めた。今度は何があったのか?

プールの監視員さんによると、10時45分に沖縄の津波注意報が解除されたらしい。つまり、今この瞬間から海に入ってもOKになったのだ! ダッシュで外に飛び出していく少年たち。

砂浜には、「遊泳可能だが注意が必要な状態」を示す黄色い旗が立っている。

家族連れが多かったからか、誰も遠くまで泳ぎには行かず、それぞれが安全な範囲で海を楽しんでいるようだった。

これ以降は雨が降ることもなく、最終日まで沖縄らしい快晴が続いた。ずっと何をしていても心のどこかに不安が残っていたが、ようやく解放された思いだ。

旅行とは非日常の極致である。が、まさか “本当の非日常” を、よりにもよって沖縄で体験することになるとは……。いろいろな意味で、忘れられない旅行となった。また行きます。

執筆:あひるねこ Photo:RocketNews24.

ScreenShot:LINE(iOS)

関連記事: