初登場3位『サンダーボルツ*』 「安定期」に入ったMCU作品興行、その実態は?

 5月第1週の動員ランキングは、『名探偵コナン 隻眼の残像』が3週連続1位。週末3日間の動員は96万9000人、興収は14億2200万円。5月6日までの公開から19日間の動員は726万6000人、興収104億8100万円。ゴールデンウィーク映画として例年4月半ばに公開されてきた『名探偵コナン』シリーズだが、昨年の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』に続いて今年もゴールデンウィーク中に興収100億円超えを達成したことになる。

 初登場作品で最上位につけたのは3位の『サンダーボルツ*』。オープニング3日間の動員は27万1000人、興収は4億5900万円。この数字は、MCU作品として前作にあたる今年2月公開『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の同期間の興収比で99%。フランチャイズがスタートして17年目、これまで紆余曲折ありながらも、ここにきて日本国内のMCUファン層は拡大も縮小もしない「安定期」に入っていることがわかる。

 もっとも、近年のMCU作品には「安定期」故のジレンマもある。初動で4〜5億台の興収を記録するも週末ランキングで1位には届かず、極端な初動型の興行で最終的な興収は初動成績の2〜3倍台でフィニッシュ、といった興行が昨年の『デッドプール&ウルヴァリン』から続いていて、直近の『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の最終興収はオープニング3日間の興収の約2.5倍ほどだった。それに倣うなら、今回の『サンダーボルツ*』も11〜12億円程度の最終興収が見込まれる。実写洋画のヒット作が乏しい近年では、それでも数少ない「計算のできる作品」と言えるわけだが。

 MCU作品に限らずスーパーヒーロー映画の興行が初動型となるのは日本だけではなく、北米での2週目以降の興行はさらに極端な初動比となることも多いが、そもそもそのベースとなる数字のケタが2つ違う(『サンダーボルツ*』の北米でのオープニング3日間の興収は日本円で約110億円)。今回、最初の週末興行が終わったタイミングで作品の根幹となる大きなネタバレをオフィシャルのアカウントが発信したのも、そうしたマーケットの特異性を踏まえてのことだろう。当然、それはソーシャルメディアを通して日本の観客の目にも入ってくるわけで、「MCUの新作は最初の週末に観に行かなくては」という行動パターンは今後ますます強固になっていくだろう。先週末は公開7週目を迎えた『教皇選挙』が再び動員ランキングを上げているが、同じ実写洋画作品でも短距離走と長距離走、まったく別のレースをしているわけだ。

■公開情報 『サンダーボルツ*』 全国公開中 監督:ジェイク・シュライアー 出演:フローレンス・ピュー、デヴィッド・ハーバー、セバスチャン・スタン、ワイアット・ラッセル、オルガ・キュリレンコ、ハナ・ジョン=カーメン、ジュリア・ルイス=ドレイファス 日本版声優:田村睦心、白石充、大塚明夫、藤貴子、鈴木達央、田中理恵、中村千絵、梶裕貴、伊瀬茉莉也 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

©2025 MARVEL

関連記事: