甘い言葉には「メタ的視点」で 言語学者が説くAI恋愛の注意点
会話でなく、シミュレーション
――「配偶者」や「恋人」といったAIパートナーとチャットでやりとりを重ね、親密な関係を築く人々がいます。会話と言えるのでしょうか。
◆人間同士の対面の会話では、言葉だけでなく目配せやジェスチャーといった非言語コミュニケーションも重要な役割を担います。パートナーのような親密な関係においては、接触による触覚や嗅覚といった刺激も非常に大事です。ところがAIは、ご存じの通り体がありません。では、会話と言えるのかどうか。会話をどう定義するかにもよりますね。それで思い浮かんだのはゴルフです。
――スポーツのゴルフですか?
◆シミュレーターを用いた練習施設がありますが、あれに似ているかもしれません。AIとのやりとりは、現実の会話ではありません。体も表情もにおいもない。さらに、相手には心がありません。ただ、「会話のシミュレーションである」とは言えるでしょう。その上で本人が楽しいというのなら、シミュレーションだからといって(会話ではないと)全面的に否定するのは極端すぎるかなと思います。
――AI夫とのやりとりを経て、リアルな夫との離婚を決意するなど、実生活に大きな変化が起きた女性たちを取材しました。
◆AIによって救われた人もいるわけですよね。シミュレーションであるという理解を前提としての話ではありますが、AIとの会話が現実世界を生きるために支えになっているのか、あるいは溺れて現実世界で生きられなくなってしまうのか――。そこが大きな違いなのではないでしょうか。
AIの応答は「局所的」
――あくまでもAIはAIだと考えて使って…