「一億総探偵」現象 静かな町を混乱させたデマと犯人捜し 南丹
京都府南丹市の山中で男子児童の遺体が見つかった事件を巡り、SNSでは多くのデマが拡散した。
陰謀論や根拠のない臆測が飛び交い、ワイドショーでは元刑事たちが「推理」を披露した。
ネットでは当初から犯人捜しが過熱し、「一億総探偵」とまでいわれた今回の事件。見えてきたのは、誰もが自由に発信できるSNS時代の副作用ともいえる実態だった。
「一億総探偵」と言われた今回の事件。デマが拡散した背景を深掘りします ・「捜査妨害にも」 警察OBの「推理ショー」、元刑事が抱く懸念 ・京都の事件は「デマが広がる典型例」 専門家が指摘する理由
無関係の施設を名指し
「遺体も証拠も出てこないだろう」
4月中旬、そんな投稿がX(ツイッター)で広がった。行方不明になっていた安達結希(ゆき)さん(当時11歳)が遺体で見つかる少し前だった。
投稿は、捕獲されたシカやイノシシなどの有害鳥獣を処理する南丹市内の施設について、事件に関係しているかのように名指ししていた。
施設の写真まで投稿され、容疑者やその関係者が勤務していたとする誤情報も広まったが、いずれも根拠のないデマだった。
設置した南丹市によると、施設は厳重な態勢で管理されており、「犯罪に使われる疑いがないようにしている」。一時はデマを信じた人やユーチューバーらから問い合わせの電話が相次ぎ、業務に支障が出るほどだったという。
事件の現場となった南丹市園部町は、普段は静かな山あいの町だ。市の担当者は「地域に必要な施設で、大変な仕事をしている人がいる。やるせなくて、残念で悲しい」と打ち明けた。
京都府警がデマを否定
SNSでは当初から「犯人は24歳」「父親は外国籍」など、根拠不明の情報が広がり、「警察が政治家に配慮して情報を隠蔽(いんぺい)している」といった陰謀論も消えない。
無関係の子どもが殴られる動画を組み合わせた投稿や、公開された結希さんの顔写真を生成人工知能(AI)で加工した画像も広まった。
結希さんの家族を知る男性は「子どもの生命に関わることなのに、本当に腹が立つ」と憤る。
4月16日には父親の安達優季(ゆうき)容疑者(37)が死体遺棄容疑で逮捕され、5月6日には殺人容疑で再逮捕された。
京都府警の幹部は飛び交ったデマを否定し、「根拠のない情報の投稿・拡散は、関係者のプライバシー侵害につながる。捜査を阻害する恐れもあり、情報源や発信者の信頼性を確認するなど冷静に判断してほしい」と呼びかける。
「デマが飛び交う典型例」
SNSの特性に詳しい国際大の山口真一教授(社会情報学)は今回の事件について「デマが飛び交う典型例だ」と指摘する。その理由は何なのか。
山口教授は「センセーショナルな事件と情報の空白が重なった時、デマや臆測が広…