大阪・関西万博が数多くの批判を乗り越えて成功した理由 #エキスパートトピ
10月13日、大阪・関西版幕の閉会式が行われ、半年間の会期に幕を閉じた。
タレントの櫻井翔さん、フリーアナウンサーの有働由美子さんも登場し、熱気に包まれて有終の美を飾ることができたようだ。
思えば、開幕前は前途多難だった。予算や経済効果に対する批判があり、東京五輪談合問題で電通、博報堂といった大手広告会社の参加資格が停止された。
準備は滞り、公式キャラクター・ミャクミャクは「気持ち悪い」と叩かれ、パ美林工事費の未払いが発生・・・と、様々なトラブルが発生した。
万博が逆風を跳ね返し、成功を収めた理由はなんだろう?
ココがポイント
万博閉会式、櫻井翔がサプライズ出演 有働アナも登場し「News Zeroかとw」「突然」驚きの声出典:スポニチアネックス 2025/10/13(月)
大阪・関西万博が閉幕 石破首相「分断より連帯を」 国内2番目2500万人突破出典:時事通信 2025/10/13(月)
「相互理解と対話促す」「国際交流の道しるべ」 万博宣言で成果アピール、BIEとも共有出典:産経新聞 2025/10/13(月)
万博184日間、熱気も混乱も想像以上…ミャクミャク不評一転/3万8000人が会場足止め出典:読売新聞オンライン 2025/10/13(月)
エキスパートの補足・見解
筆者自身、万博の成功は難しいと感じていた。
東京五輪、パリ五輪は炎上の嵐だった。現代の日本で国家的なイベントを行うことは、経済効果からみても、国民の理解という点から見ても、大きな困難を伴う。
開幕前のメディアの論調は批判的なものだったが、大阪に出張に行った際は、温度感の違いを感じた。関西ではさほど否定的には捉えられてはいなかったように見えた。
大規模イベントは強いリーダーシップが不可欠だが、地元の政財界が連携しつつ、批判に屈することなく、強い推進力を発揮したことが大きいように見える。
公式キャラクターのミャクミャクにしても、ゆるキャラが乱立する中で、あのくらいの特異性がなければ、埋もれてしまったに違いない。
開幕前の批判が逆に話題作りに貢献し、開幕後の来訪者の体験が良い意味で予想を裏切るものであったため、ポジティブな口コミを生むことに成功した。
関西の友人はもちろん、関東や中部地方の友人の中には、何度も万博に足を運んだリピーターがいた。来訪者の体験と生の声が、悪評を押し返していったと言えるだろう。
困難に挑戦して成功を収めた大阪・関西万博には素直に賞賛を送りたい。
大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書は『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社:共著)など。