トランプ氏、BRICS「反米政策」と協調なら10%追加関税と警告
トランプ米大統領は、主要新興国グループである「BRICSの反米政策」に同調するいかなる国に対しても、追加で10%の関税を課す考えを示した。米国が貿易相手国との関税を巡る交渉を続ける中、発言はさらなる不確実性をもたらしている。
トランプ氏は6日夜、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で「BRICSの反米政策に協調するいかなる国も、追加で10%の関税を課されることになる」とし、「この方針に例外は一切ない」とした。BRICSはブラジル、中国、ロシア、南アフリカ、インドを含むグループを指す。
トランプ政権による上乗せ関税の一時停止期限が9日に迫っており、米国の主要貿易相手国・地域は合意の最終決着や期限延長の交渉を急いでいる。トランプ氏は6日、トゥルース・ソーシャルへの別の投稿で、関税に関する書簡や米国が結んだ通商の取り決めについて、米東部時間7日正午(日本時間8日午前1時)から送付・発表を予定していると明らかにした。
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BRICSの首脳会議は6日、米国とイスラエルによるイラン攻撃を非難する共同声明を採択。イスラエルのネタニヤフ首相にパレスチナ自治区ガザからの部隊撤退を訴え、中東全域の紛争に「公正で恒久的」解決をもたらすよう促した。
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今回のトランプ氏の投稿には、どの政策を「反米的」と見なしているのか具体的な説明はなかった。追加関税の発動時期についても、詳細は示されなかった。
トランプ氏は以前、BRICS諸国に対し、米ドルを他の通貨で代替しないと約束する必要があり、さもなければ「100%関税」を課すと警告していた。こうした圧力は、各国が自国通貨による決済システムなどの開発に関心を高める要因にもなっている。
トランプ氏の投稿を受け、7日の東京外国為替市場ではドル買い・円売りが優勢となり、1ドル=145円台前半まで円安が進んだ。あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、報道により人民元が売られ、ドルが買われたため、対円でもドルが買い戻されていると指摘した。
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新興国通貨は軒並み下落した。南アフリカのランドは対ドルで約1%下落し、新興市場の中で最も大きな下げとなった。インドのルピーと中国のオフショア人民元も値を下げた。ストーンXファイナンシャルのトレーダー、呉明賾氏(シンガポール在勤)は「トランプ氏の発言はBRICSとの協調路線を模索している新興国への警告だ」と述べた。
トランプ氏はまた、米東部時間7日午後6時35分(日本時間8日午前7時35分)から、ホワイトハウスの応接室「ブルールーム」でイスラエルのネタニヤフ首相と夕食会に臨む予定。公表されたトランプ氏の公式スケジュールで明らかになった。
中国外務省の毛寧報道官は7日の定例記者会見で、「貿易戦争に勝者はない」とする中国政府の従来の主張を繰り返し、「BRICSは開放性、包摂性、そしてウィンウィンの協力を提唱しており、排他的な陣営対立を行うものではなく、特定の国を標的とするものでもない」と強調した。
インドネシアの経済担当調整省のハリョ・リマンセト報道官は、トランプ氏の追加関税発言について「特にコメントはない」とし、「交渉チームが作業中であり、インドネシアと米国が最良の解決策を見出せることを期待している」と語った。
原題:Trump Warns of 10% Tariff for ‘Anti-American’ BRICS Policies (2), Trump to Have Dinner With Netanyahu on Monday , ZAR, CNH Drop as Trump Signals Tariff on BRICs Aligned Nations , INR Falls Offshore on Trump’s BRICS Tariff Threat: Inside India ,Trump’s BRICS Comments Are Warning Shot to EM Nations: StoneX(抜粋)