地上最大のサソリ、野球のバットと同サイズ 化石の再調査から姿を復元
(CNN) 野球のバットと同じ大きさの巨大なサソリを想像してみよう。そいつが苔(こけ)に覆われた岩の上や大木の周囲を慌ただしく這(は)い回り、近くの小川へと滑り込んでいく姿を。 【画像】表面に突起のある巨大サソリのはさみの化石 ある科学者のチームの説明によれば、そのようなサソリが今からざっと4億1500万年前、現在の英国に当たる地域に生息していた。これまでに知られている中で最大のサソリだという。 この興味深い新たな知見を得るべく、専門家たちはロンドンの自然史博物館に100年以上保管されていた化石を再調査した。それらの標本に比較的新しく発見された化石を組み合わせることで、専門家のグループはこの生物のより完全な姿を復元することに成功した。 「プラエアークトゥルス・ギガス(P・ギガス)」と呼ばれるこのサソリの体長は、1メートルだったと推定される。関連する研究論文は2日、古生物学の学術誌に掲載された。 1870年代に初めて特定されたこの生物に関しては、これまでの研究から、等脚類として知られる甲殻類の一群に属する可能性が示唆されていた。しかし1980年代になると科学者たちはP・ギガスや近縁の動物についての知見を深め、実際には節足動物だった可能性も検証するようになった。節足動物は外骨格と関節肢を持つ無脊椎(むせきつい)動物で、サソリはここに分類される。
研究チームは、長年にわたって三つの地点から発掘された化石8点を調査。CTスキャンやその他の手法を駆使して詳しい分析を行った。また、当時の環境の中でこの動物がどのような姿をしていた可能性があるかを描くため、アーティストとも協力して復元図を作成した。 化石が従来の想定とは別の種に属していることを示す「決定的証拠」は、カナダのサソリについて記述した2015年の研究だった。今回の論文の筆頭著者でありロンドン自然史博物館の化石節足動物担当学芸員を務めるリチャード・ハワード氏はそう明かす。 当該の生物、「Eramoscorpius brucensis」の腹板の中央には、P・ギガスと全く同じような溝があった。この発見から、これらが近い関係にある動物同士だとする推測が成り立ったと、ハワード氏は振り返った。 科学者らによると、P・ギガスはその巨体を別にすれば、脚やはさみ、頭部が粗い突起で覆われているなど、サソリに特徴的な形質を持ち合わせていた。博物館に保存されている化石標本に目は残っていないが、研究著者らは、P・ギガスにも現生のサソリと同様、頭部前方に目があったと考えている。 P・ギガスのはさみの長さは約16センチ。豪フリンダース大学の古生物学者、ラッセル・ビックネル氏によれば、これは現代の大型サソリの4倍に相当する。参考までに、現生最大種とされるジャイアント・フォレスト・スコーピオンの体長は通常10〜13センチほどだという。 P・ギガスにはまた、腹部にひれ状の構造が備わっている。「我々の知る限り、他のどのサソリにも見られない特徴だ」とハワード氏は語った。科学者たちは通常、こうした体の部位をカブトガニのような海生節足動物と関連づける。ひれ状の特徴は、P・ギガスが泳ぐのを助けていた可能性があるという。 P・ギガスが生息していたデボン紀前期には、地球上の生物の大部分はまだ水中で生活していたとされる。当時このようなサソリが存在していたことは、ハワード氏によればやや意外な発見だ。 サソリや初期のトンボ、ヤスデを含む巨大節足動物が出現するのはそれから5000万年ほど後のことだとハワード氏は指摘する。当時はジャングルや樹木の発達によって酸素濃度が増加し、巨大な陸上生物の生息を可能にしていたという。 しかし、酸素があまり存在しなかったデボン紀前期には、「陸生動物と水生動物の境界線は、ずっと曖昧(あいまい)だった」とハワード氏は述べた。