トランプに恫喝された同盟国オマーン、イランと海峡管理で接近か(ニューズウィーク日本版)
ホルムズ海峡の管理権をめぐり、イランとオマーンの協議が継続していることが明らかになった。トランプ米大統領がオマーンに軍事行動も辞さない姿勢を示す中でも、両国は海峡運営に関する協議を続けている。 【動画】米イラン最終合意に中国介入か…核問題を譲れないアメリカが飲む“台湾妥協”の劇薬 イラン国営通信IRNAは6月1日、イランとオマーンが繰り返し会談を重ねており、ホルムズ海峡の管理に関する協議は「順調に進展している」と、イラン外務省のイスマイル・バガイ報道官の発言を報じた。 米国は、この海峡が過去3カ月にわたり事実上イランによって封鎖されているとして、すべての国際船舶に開放されるべきであり、イランの管理下に置かれるべきではないと主張している。 ワシントンは、イランに利益をもたらす通航料制度を拒否し、イランが海峡の船舶航行を管理するために設立した組織「ペルシャ湾海峡庁」を制裁対象に指定した。また、海峡を安全に通航する見返りとしてイランに料金を支払う者に対しても制裁を科すと警告している。 トランプは5月27日、「オマーンは他国と同じように振る舞わなければならない。そうでなければ『吹き飛ばす』」と発言した。しばしば米国とイランの仲介役を担ってきた同盟国オマーンに対する脅しの真意は不明だ。 オマーンは、イラン以外で唯一ホルムズ海峡に面する国だ。そのオマーンが、イランと共同で通航料徴収を検討していた可能性や、トランプが単純に誤ってイランではなくオマーンに言及した可能性も指摘されているが、ホワイトハウスは発言を修正していない。 スコット・ベッセント米財務長官は週末、オマーン当局者から、マスカットは海峡を通航する船舶から料金を徴収しないとの説明を受けたと述べた。
オマーンは、海峡を通る船舶の安全な航行と航行の自由を守ることに尽力しているとしている。同国は長年の米国の同盟国であり、米軍による基地利用も認めている。米国とイスラエルが2月28日にイラン攻撃を始めたときも、オマーンは仲介の只中だった。また戦争初期には、イランによるオマーン攻撃も発生した。 しかし、燃料価格の乱高下やサプライチェーンへの圧力、数百万人の食料アクセスへの懸念が続くなか、米国には海峡を再開放し、海上輸送を正常化するよう求める圧力が強まっている。 平時には、世界の石油・天然ガス輸送量の約5分の1がこの海峡を通過する。また、海上輸送される世界の肥料供給量の約3分の1も通過しており、アフリカの角地域やサヘル地域など、飢饉の危険にさらされる地域の農業生産を支えるうえで不可欠となっている。 長期間に及ぶ封鎖により、1500隻以上の船舶が足止めされ、燃料価格は急騰した。海上交通量は依然として戦争前の水準を大きく下回っており、イランは米国によるイラン港湾封鎖にもかかわらず、海峡支配の緩和に抵抗している。 イランのカゼム・ガリババディ外務次官は6月1日、ホルムズ海峡で「主権を行使する権利」を持つのはイランとオマーンだけだと述べ、オマーンは米国の脅しに「屈するべきではない」と主張した。 オマーンのバドル・アルブサイディ外相は先週、首都マスカットでイランのアラグチ外相を迎えた。オマーン側は、両国代表団が海峡の船舶航行を「安全かつ持続可能な形で」再開する方法や、「一連の原則」を検討したと明らかにした。