ロシア最大手通販の倉庫を攻撃 ウクライナの攻撃で事業者が損失
エレクトロスタリ、ロシア、7月24日 (AP) ー ロシア最大手の通販サイトであり「ロシア版アマゾン」とも称される「ワイルドベリーズ」の施設で大規模な火災が発生し、立ち上る巨大な黒煙の柱がウクライナによる攻撃の凄まじさを物語っている。 18日以降、ロシアの個人事業者らが相次いでSNSを更新し、攻撃を受けた施設に保管されていた自社の在庫商品が焼失したと明かし、涙ながらに被害を訴えた。 被害を受けた販売事業者のひとり、アンナ・ブドビナ氏は「すでに約500万ルーブル相当の商品を失いました。そのため、予定していた出荷をすべて一時停止しており、今後どうすればよいのか途方に暮れています」と話す。 ウクライナ軍のドローンは、今週末にかけてモスクワのすぐ東に位置するエレクトロスタリやタンボフ州の施設を相次いで攻撃した。 さらに22日未明には、南部クラスノダール地方とスタブロポリ地方にある2カ所のワイルドベリーズ倉庫も攻撃を受け、炎上した。 これら4カ所の倉庫における被害の全容把握は困難を極めている。 ワイルドベリーズによると、モスクワへの主要な物流拠点であるエレクトロスタリの施設では消火に3日間を要したものの、タンボフ州コトフスクの拠点については23日にも操業を再開する見込みだという。 ワイルドベリーズは2004年、当時教師であり幼い子の母であったタチアナ・キム氏によって創業され、当初は衣料品の販売を中心に手掛けていた。 それ以降、印象的な紫色のロゴで知られる同プラットフォームは業界のリーダーシップを確立して国民的な存在となり、自社倉庫での保管・配送ネットワークを通じて全国の大小さまざまな企業が商品を販売できる環境を提供してきた。 フォーブス・ロシア誌は今年4月、キム氏の総資産を81億ドルと推計している。 同社は被害を受けた事業者を支援するため、倉庫保管料の割引や他施設への無料転送、傘下のワイルドベリーズ銀行を通じた優遇融資などの救済措置を提示した。 一方で、多くの事業者が損失の補償が行われるのか疑問視している。 同社は今月に入り利用規約を改定しており、ドローン攻撃を含む「不可抗力」による在庫の損害について賠償責任を免除する条項を設けていた。 しかしキム氏は22日遅く、エレクトロスタリの拠点で在庫が被害を受けた事業者に対し、支払いを開始したと発表した。 コンサルティング会社マクロ・アドバイザリーのCEO、クリス・ウィーファー氏は、ロシアのネット通販市場は2022年以降極めて急速に拡大していると指摘する。 同氏がAP通信に語ったところによると、現在EC市場はロシアの小売売上高全体の約20%を占めており、「ほんの5年前の半分以下の水準から急成長を遂げた」という。 ウクライナ侵攻を受けて多数の欧米ブランドがロシア市場から撤退した後、ワイルドベリーズやオゾン(Ozon)といった大手ECは、ショッピングモールで入手できなくなった製品をアジアやアラブ首長国連邦(UAE)、トルコ経由の並行輸入で確保し、急成長につなげた。 ウィーファー氏は、複数の倉庫に対する攻撃が業界や停滞しつつも安定しているロシア経済全体に与えるダメージは「比較的軽微」にとどまるだろうと分析する。 むしろ今回の攻撃の本質は「国民の士気をくじき、戦況についてより人々の話題に上らせ、クレムリンの動向に疑問を抱かせることにある」と述べている。 (日本語翻訳・編集 アフロ)