「中国経済崩壊」って信じていいの? ニュースの演出と“売れる仕組み”のからくり
中国経済がそろそろ崩壊するらしい。 中国の経済成長が鈍化しているのはご存じの通りだが、事態はもっと深刻で、メーカーの工場が操業停止に追い込まれ、失業者が続出。住宅の着工数も激減し、バブル崩壊後の日本よりもひどい惨状となっているとメディアが盛んに報じている。 【画像】「中国経済はもう終わり」本当に? 反中ニュース市場の正体 専門家の中には「歴史的崩壊」を予見している方や、悲惨な経済状況から国民の目をそらすため日本にあれこれ嫌がらせをしてきている、という方もいらっしゃる。 どれも立派な専門家の見立てなので、それなりに根拠のあることだろう。中国を相手にビジネスをしている方は、ぜひ参考にして事業戦略の判断材料にしていただきたい。 ……と思う一方で、報道対策アドバイザーという立場から言わせていただくと、この手の「中国経済崩壊ニュース」というのはあまりうのみにせず、かなり注意深く受け止めたほうがいいと思っている。 「中国経済は安心」と言いたいわけではない。本連載『スピン経済の歩き方』のまさにテーマである「経済ニュースにスピン(情報操作)をかけることで、特定の方向へ世論を誘導していく」というにおいがプンプン漂っていると指摘したいのだ。
ご存じのように今、日中関係は悪化している。中国政府が民間業者に訪日観光客を減らせと「命令」していたことも報道で明らかになり、中国に対して反感を抱く日本人も増えている。そういう人たちがネット上にあふれる「中国経済崩壊寸前ニュース」を見れば、「ざまあみろ」と胸がスカッとすることは言うまでもない。 人は「聞いていて気分のよくなる話」や「自分を肯定してくれる話」に目がない。つまり、中国経済がもっと衰退して、日本を脅した習近平国家主席が窮地に立たされて、権力の座から転がり落ちるような話をもっと欲しがるものだ。 「それの何が悪い!」と愛国心あふれる方に怒られてしまいそうだが、それはメディアにとって「ニュースを売るためのマーケティング」でもあるのだ。 中国に反感を抱き、中国経済崩壊のニュースに留飲を下げる人が増えることは、言い換えれば「反中ニュース市場」が開拓・拡大できたということである。 ビジネスパーソンならば詳しい説明はいらないだろうが、市場ができれば後は「刈り取り」をするだけだ。 つまり、中国経済がいかにひどい惨状で、格差が広がって、政府に不満を抱いている人が増えていて、習近平体制の執行部がアップアップで涙目になっているような「反中ニュース」をどんどん流すのである。それだけで視聴率やPVが勝手に上がっていく。 これが「マネジメント」で知られる経済学者のピーター・ドラッカー氏が「自然にモノが売れていく状態」と説明したマーケティングの真髄である。