米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍化も関税懸念残る

米労働省の労働統計局(BLS)が18日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.7%で、市場予想を下回った。2025年4月3日、米ニュージャージー州セコーカスで撮影(2025年 ロイター/Siddharth Cavale)

[ ワシントン 18 日[...] ロイター] - 米労働省の労働統計局(BLS)が18日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.7%で、市場予想を下回った。ロイターが調査したエコノミスト予想は3.1%上昇だった。

ただ、この伸び鈍化は技術的な要因によるものとみられ、引き続き輸入関税が一因とされる価格高騰が懸念される。

43日間にわたる政府閉鎖により10月のデータが収集できなかったため、前月比は公表されなかった。10月のCPI発表も中止された。

9月は前年比3.0%上昇だった。

11月CPIの上昇率が予想を下回ったのは、データ収集が、年末商戦のセール時期に当たる月末まで遅れたことが原因とみられる。エコノミストは12月に上昇率が加速すると予想している。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比2.6%上昇した。9月は3.0%上昇だった。

フィッチ・レーティングスの米国経済調査責任者オルー・ソノラ氏は、「政府閉鎖中のデータ収集の欠落は、無視しがたい懐疑的な見方をもたらす。インフレ率をより明確に読み取るには、来月まで待つ必要がある」と指摘した。

11月は牛肉価格は前年比で15.8%上昇し、コーヒーは18.8%上昇した。電気代は6.9%上昇した。

一方、卵の価格は13.2%低下し、ガソリンは0.9%の上昇にとどまった。新車の価格は0.6%上昇した。

エコノミストらは、牛肉、バナナ、コーヒーなど一部品目への関税引き下げによる価格低下が消費者に実感されるまでには、しばらく時間がかかる可能性があると指摘している。

トランプ米大統領による広範な輸入関税導入は、多くの商品の価格を上昇させた。しかし、企業は関税導入以前に積み上げた在庫を消化し、価格上昇分の一部を吸収したため、価格の転嫁は緩やかに進んできた。

パンテオン・マクロエコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、サミュエル・トゥームズ氏は、小売業者が9月までに関税の約40%を転嫁したと試算。「われわれは、この割合は3月までに徐々に70%に上昇し、その後安定すると予想している」と述べた。

A line chart with the title 'Annual change in US Consumer Price Index'

次期米連邦準備理事会(FRB)議長の有力候補とみられている米ホワイトハウス国家経済会議(NEC)のハセット委員長は、CPIの伸び鈍化を歓迎。米経済は高い成長とインフレ率の低下を示しているとし、「物価問題についてまだ勝利宣言をするとは言わないが、今回のCPIは驚くほど良かった」とした。さらに、賃金は物価を上回るペースで伸びており、納税者は来年多額の税還付を受け、政府は住宅ローン金利の引き下げを支援するとの見方を示した。フォックス・ビジネス・ネットワークのインタビューに応じた。

その上で、「FRBが金利を引き下げる余地はたくさんある。FRBはこれまでよりも100%透明性を高める必要があると思う」とも述べた。

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