世界の投資家、ドルのヘッジを縮小-ステート・ストリートが分析
- ドル安のヘッジ比率、トランプ関税がもたらした混乱前の水準に後退
- ヘッジ比率、上昇して当然の局面でも低水準維持-マクロ戦略責任者
世界の投資家によるドル安へのヘッジは、4月の米関税問題で市場が動揺する前の水準近くにまで縮小したことが、ステート・ストリートのデータで明らかになった。
トランプ米大統領が4月2日に関税措置を発表したことを受け米国株とドルが下落し、ドルに対するヘッジが強まっていたここ数カ月の動きとは対照的だ。アナリストらは、米国外の株式投資家がさらなる下落に備えてヘッジを引き続き積み増し、そうした動きがドルの一段の重しになると警告していた。
ただ、ステート・ストリート・マーケッツがまとめたデータによれば、ヘッジの動きは当初懸念されたほど、ドルに対する圧力にはなっていないことが示唆されている。それによると、現在のヘッジ比率は21.6%で、5月から2ポイント低下し、4月上旬とほぼ同水準に戻っている。
ステート・ストリート・マーケッツのマクロ戦略責任者、マイケル・メットカーフ氏は「これまでに見られた、最大10%の変動を伴うようなヘッジ比率の動きとはまったく異なる」と述べ、「ドルへの脅威は依然としてくすぶっている」とも指摘した。
4月の関税を巡る混乱は、ドルが米国株の損失に対する保険として機能するとの広く共有された見方を揺るがした。過去のリスク回避局面でドルは伝統的に上昇する傾向があったためだ。しかし4月の売り局面では、このパターンが崩れたにもかかわらず、外国人投資家の行動には大きな変化が見られないと、メットカーフ氏は述べている。
同氏はまた「誰もがヘッジ比率に注目していた。なぜなら低水準にあるヘッジ比率だが、本来ならもっと高くなっていてもおかしくなかったからだ。実際のところ、8月中旬時点でもその比率はほとんど上がっていない」と述べた。
これは、投資家が為替ヘッジの最適水準を評価する際に通常3-5年といった長期的なデータを参照する傾向があることを反映している可能性がある。その観点から見れば、株が下落した期間においてドルはなお有効なヘッジ手段と見なされているようだ。
原題:Global Investors Cut Back on Dollar Hedging, State Street Says
(抜粋)