<2026年熊本地震>ため池枯れて水田カラカラ 甲佐町乙女台地 少雨、地震でわき水止まる
甲佐町の乙女台地にある「世持[よもち]のため池」が枯れ、ため池を水源とする用水路に頼っていた地域の水田が干上がっている。少雨に熊本地震の影響が重なったとみられ、水が必要な出穂期の思わぬ事態に農家は頭を抱えている。
町によると、用水路の水位低下が目立ったのは3日ごろ。7月7日から8月18日までの降水量は23ミリで、まとまった雨は降っていない。2026年熊本地震でため池の損傷は確認されていないが、用水路に流れ込んでいた近くの湧き水は地震後に枯れたという。
80㌃でコメを作る山下康彦さん(78)は「今月中に雨が降らなければ、小さな穂しか出なくなってしまう。値上がりした肥料を使ったが、収穫は駄目になるかも」と気にかける。今年は5年ぶりに大豆からコメに作り替えただけに心配は大きい。ほかの作物も出荷が地震と重なり、8月の収入は計画を大幅に下回った。「とにかく雨が降ってほしい」と切実だ。
18日からは町の許可を得て、地域の農家らが防火水槽から水をポンプでくみ上げ、用水路に流す応急対策も始めた。作業を担う男性(76)は「少しでも土を湿らせたい」というが、水田に水が行き渡るには数日かかる見通しだ。
町農政課によると、2カ所にあるため池の貯水量は計6万3千トン。用水路を通して、計9ヘクタールの水田を潤している。来季以降の水源確保のため、井戸の掘削も検討中だ。
少雨による水不足は、町で盛んな花き栽培への影響も懸念される。ユーカリなどの「枝もの」を中心に栽培している船津の男性(73)の畑の土も乾ききった状態が続く。自宅も被災し、片付けや修繕にも追われる男性は、「今は何とか持っている。木が枯れてしまったら出荷はできない。せめて夕立くらい降ってくれたら」とため息をついた。(横川千夏)
■県内、ため池56カ所被災 農業への影響懸念
2026年熊本地震では、激しい揺れに見舞われた八代・宇城地域を中心に水路やため池が損傷する被害が数多く生じ、営農継続の妨げとなっている。
熊本県によると、19日時点で農業用ため池56カ所が被災した。農地に水を送る配水管が損傷したり、決壊を防ぐため水かさを減らしたりしたため池もあった。排水機場や道路なども含む農業用施設全体では、8908カ所、534億7439万円の被害が出ている。
出穂期に当たる現在は、水の需要の多くが水稲向けだが、苗の定植を控えたトマトやイチゴ栽培などへの影響も懸念されている。特に八代市では、球磨川から取水して農地に配水する「不知火幹線水路」が損傷。農地2200ヘクタールに水を送る水路に亀裂などが生じ、国が復旧を急いでいる。
今年の県内は平年より11日早く梅雨明け。九州農政局によると、1日現在の竜門ダム(菊池市)の貯水率は平年比8・3%減の83・7%。緑川ダム(美里町)の貯水率は2・8%増の58・2%となっている。(上島諒)
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