長期投資家のドル売りはこれから、反発は一時的-調査会社エグザンテ
- 米中貿易摩擦緩和によるドル反発、一時的に過ぎない-ノルドビグ氏
- リアルマネーの顧客、多くがまだ本格的な動き取っていない
米中貿易摩擦の緩和を受けたドルの反発は、一時的なものに過ぎない。グローバルな資金の流れを調査するエグザンテ・データの創業者イェンス・ノルドビグ氏は最近の情報収集の結果、こう確信するに至った。
ノルドビグ氏はヘッジファンド運用者や企業の財務担当者、年金基金、政府系ファンドなど世界の大口投資家と定期的に意見を交わしている。
ベッセント米財務長官もヘッジファンド幹部だった当時、ノルドビグ氏の初期顧客の一人だった。
数年にわたるドルの弱気相場は始まったばかりだと指摘する同氏は、トランプ政権が米経済の再構築を図り、その過程で世界貿易を混乱させたことが原因だとの見方を示す。
場当たり的で二転三転する関税政策が既に大きな混乱を招き、ドルへの投資家の信頼は取り返しのつかないほど揺らいだとも語った。
関税引き上げを受け、先月いち早くドル売りに動いた投機筋と異なり、過去10年にわたり米国株・債券を大量購入してきた機関投資家は今もポートフォリオの見直し過程にあるとノルドビグ氏はみている。
保有の削減やヘッジの積み増しには数カ月を要する可能性があるものの「痛みは避けられない」と指摘する。
ノルドビグ氏は3月上旬にドル弱気に転じた。長期的に安定した運用を目指すリアルマネーの顧客の多くはまだ本格的な動きを取っていないとし、「こうした投資家はドルのエクスポージャーを実際に減らす機会を探っている」という。
米中の関税引き下げ合意を受け、ドルは12日に1カ月ぶりの高値を付けたが、景気鈍化やインフレ加速への懸念を背景に貿易戦争が米資産売りを招き、年初来では5%余り下落している。
原題:Hedge Fund Insider Sees Dollar Rout as Biggest Players Eye Exit(抜粋)