米国から欧州への資本移転シナリオ、裏付けは乏しい-BofA
- 投資家は欧州投資になお慎重、経済見通しは引き続き懸念材料
- ネットベースでの米国株への資金流入、年初来では欧州の約4倍
最近注目されている米国から欧州への大規模な資本移転のシナリオについて、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の欧州・中東・アフリカ(EMEA)市場部門責任者、ブライアン・ワインスタイン氏は、必ずしも長期的な構造的変化の始まりではないとの見方を示した。
BofAのEMEA部門は1-3月(第1四半期)に23%の増収となり、良好な一年のスタートとなったが、ワインスタイン氏によれば、欧州への資本シフトを裏付けるエビデンスは不十分だ。
ワインスタイン氏は多くの機関投資家が欧州に対して様子見の姿勢を維持していると指摘、「構造的なシフトが起こっているかと問われると、 答えはノーだ。若干は欧州に資金が流入している」と述べた。
同氏によれば、ドイツが3月に発表したインフラと防衛分野の支出拡大計画は、顧客の間で欧州成長見通しに対する楽観が広がるきっかけとなった。
BofAがまとめたEPFRのデータによると、4月30日までの3週間で欧州株へは34億ドル(約4850億円)が流入、米国株からは89億ドルが引き揚げられた。しかしネットベースでは、今年に入って米国株への資金流入が約1463億ドルと最も多く、欧州の約4倍余りとなっている。
顧客は引き続き欧州の短期的な経済見通しを懸念している。欧州連合(EU)当局者がトランプ米政権と関税を巡り合意を成立させたとしても、関税は以前より高くなり、成長にブレーキをかけるとみられている。トレーダーは欧州中央銀行(ECB)が年内さらに2回、0.25ポイントの利下げを実施すると想定しており、3回目の利下げも約50%織り込んでいる。
原題:BofA’s Trading Chief Says Shift Out of US Is Still Marginal
(抜粋)