アトランタ連銀総裁、2月末に退任へ-FRB内で慎重な利下げ支持派

米アトランタ連銀のボスティック総裁は、2月末の任期満了をもって退任する意向を表明した。

  ボスティック氏は初のアフリカ系米国人の地区連銀総裁として2017年に就任。同性愛者であることを公表した初の地区連銀総裁としても知られる。

  同氏は「すべての人に機会をもたらす経済という高い理想を在任中に現実に近づけることができたことを誇りに思う。次の章でこの大胆なビジョンをさらに前進させる新たな道を見いだすことを楽しみにしている」と、12日公表した声明文で述べた。  

  ボスティック氏は今年、根強いインフレリスクについて積極的に発言。利下げには慎重を期すよう促すとともに、関税の潜在的な影響に警戒するよう呼びかけてきた。

  同氏は、アトランタ経済クラブでの講演用原稿で、労働市場が軟化する一方で、インフレ率が目標を上回って推移しているなど、政策当局者は難しい環境に直面していると指摘。その一方で、緩和的な金融政策がインフレ再燃を招く恐れがあると警戒感を示した。

  同氏は「労働市場の変化にもかかわらず、より明確で差し迫ったリスクは依然として物価の安定だ」と述べ、「こうした状況下で政策を緩和的な領域に近づけたり、踏み込んだりすれば、インフレという魔物に新たな血を注ぎ込み、企業や消費者のインフレ期待を制御不能に陥らせる恐れがある」として、「現時点で検討すべき適切なトレードオフだとは到底思えない」と強調した。

  今年の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では投票権を持たないが、9月と10月に実施された2回の利下げ決定を支持したと述べている。ただ、インフレ率が依然としてFRBの目標である2%を上回っているため、なお引き締め的な金融政策スタンスを維持する必要があるとも強調してきた。

  ボスティック氏の退任は、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の任期が5月に終了し、新たな指導体制が発足する数カ月前のタイミングとなる。トランプ大統領から前例のない利下げ圧力にさらされ、主要ポストの人事変更が進行している中での退任発表となり、FRB内でさらに余波が広がりそうだ。

  トランプ政権は、金利政策への関与を強める手段として、地区連銀への影響力を強化する選択肢を検討している。

  全12人の地区連銀総裁の任期はいずれも5年で、2月28日に終了する。現在進行中の審査手続きを経て、再任の対象となる。

  アトランタ連銀によると、後任が2月28日までに決まらない場合は、第一副総裁兼最高執行責任者(COO)のシェリル・ベナブル氏が暫定総裁として職務を引き継ぐ。同連銀が次にFOMC会合で投票権を持つのは2027年となる。

  アトランタ連銀は声明で、理事会が後任人事を検討するための選考委員会を設置するとし、手続きの詳細については追って発表すると述べた。

原題:Atlanta Fed’s Bostic to Retire When Term Ends in February(抜粋)

Fed’s Bostic Says Inflation Is Still the Clearer and Urgent Risk

(抜粋)

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