アングル:トランプ氏の訪中延期、米中貿易休戦に影も大幅後退は回避か
[北京 17日 ロイター] - トランプ米大統領が北京で予定していた中国の習近平国家主席との首脳会談の延期を要請したことに関し、アナリストらは米中関係の大きな後退を招くことはないとの見方を示している。
トランプ氏が輸入品に課した関税について、米最高裁が2月に違憲との判決を下した。トランプ氏は中国を含めた世界各国に貿易面での圧力を強めるために「不公正な貿易慣行」に関する新たな調査を命じており、中国との首脳会談も設定されていた。
国際関係を専門とする復旦大の趙明昊氏は「状況は危機的ではなく、中国側も引き続き首脳会談の開催を望んでいるものの、米国とイランの紛争と、トランプ関税に対する最高裁判決が、こうした取り組みを複雑にしている」とし、「トランプ氏のイランに対する『選択的戦争』により、今年の米中関係はより難しくなっている」と指摘した。
一方、会談の延期は追加的な貿易措置を講じる時間的余裕を生むことになるとして「ホワイトハウスは関税政策を継続すると表明しているが、この点に関して新たな不確実性が生じ、米国へ対応を巡って中国側の判断に影響を与える可能性がある」と言及した。
ベセント米財務長官と中国の何立峰副首相が今月パリで開催した閣僚級協議に詳しい情報筋は、ロイターに対して中国が大豆以外の米国産農産物や牛肉の追加購入に前向きな姿勢を示したと明らかにした。中国が世界の大部分を占めているレアアース(希土類)の流通や、両国間の貿易・投資を管理する新たなアプローチについても協議した。
国営英字紙チャイナ・デイリーは17日に掲載した社説で閣僚級協議を「建設的」と評する一方で、トランプ氏に対して「(中国の)開放的な姿勢を暗黙の了承と誤解してはならない」と警告。その上で「米国側は、安定した米中経済関係を混乱させたり、損なったりする可能性のあるさらなる行動を控えるべきだ。関税や制約的な措置、あるいは一方的な調査などの不確実性を招く行動がそれに当たる」と主張した。
シンガポール国立大リー・クアンユー公共政策大学院のアルフレッド・ウー氏は「(計画の)変化は中国からすると理想的ではない。中国は実際には、より予測可能なものを求めている」と語った。
<矛盾したメッセージ>
一方、米国当局者らは米中首脳会談の延期理由について矛盾した発言をしている。トランプ氏は15日に英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、事実上封鎖されているホルムズ海峡の解除に中国が協力しない場合には会談を延期する可能性があると話した。
ベセント氏は16日、トランプ氏が会談を延期せざるを得ないのは、イランとの戦闘のための調整が必要だからだと主張。中国にホルムズ海峡の警備協力を求めたことや、貿易上の意見の相違によるものではないと説明した。
中国外務省の林剣報道官は16日、トランプ氏の発言について「国家元首間の外交は、米中関係に戦略的な指針を与える上でかけがえのない役割を果たしている」とコメントした。
それでもアナリストらは、米中両国にとっての最優先事項は両国関係を安定させ、トランプ氏の北京訪問を成功に導くための計画を継続することだと指摘する。また、輸出依存型の中国経済にとっては、世界経済での不確実性の高まりに対応することが最優先課題だとした。
ブルッキングス研究所の外交政策担当フェロー、パトリシア・キム氏は「中国の最優先事項は今後も米国との関係を比較的安定させ、今後の長期的な戦略的競争に備えて自国の強化に力を入れ続けることだ」と言及。中国の戦略的パートナーであるイランに対する米国の軍事作戦が続いているため盛大な歓迎は控える可能性があるものの、中国はトランプ氏を満足させることが2国間関係を管理する鍵だと理解しているとの見解を示した。
アジア・ソサエティの中国政治担当フェロー、ニール・トーマス氏は「トランプ氏は、想定よりも手間取っているイランでの戦闘に気を取られているため、そこから生じる軍事的・経済的な影響を今後2週間ほどで封じ込めたいと考えている。つまり、北京訪問を成功させる計画を立てることは、現時点ではほぼ不可能なのだ」と指摘した。
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Antoni Slodkowski is Reuters Chief Politics & General News Correspondent for China, based in Beijing, where he leads coverage of Chinese politics, society, and its relations with global counterparts. He has won two Pulitzer Prizes with Reuters colleagues: in Investigative Reporting in 2025 for uncovering fentanyl supply chains, and in International Reporting in 2019 for exposing the persecution of Rohingya Muslims in Myanmar. Previously Japan Deputy Bureau Chief and Myanmar Bureau Chief at Reuters, Antoni also reported from Tokyo for the Financial Times and was a Knight-Wallace Fellow at the University of Michigan. He began his journalism career as a teenager, hosting a children's TV show for Poland's largest public broadcaster.