市場の不安定な変動、あらゆる投資家が損失の可能性-ゴールドマン

過去2週間の株式市場の急回復は、ベアマーケット(弱気相場)の反発の典型的なパターンであり、不安定な変動は、市場が突然どちらの方向に動いても、ほぼ全ての投資家が損失を被る可能性が高い。

  ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、ピーター・オッペンハイマー氏は「株式投資における非対称性は非常に悪い。ベアマーケット内の急激な反発は例外ではなく、むしろ普通のことだ」と述べた。

  市場を動かしている最大の要因は、引き続き不確実性だ。投資家には強気派・弱気派を問わず、長期的な確信はほとんど見られない。急速に変化する米国の関税問題が、企業決算や企業価値の再評価を通じ、どう反映されるかを示す短期的なニュースや推測によって、価格が上下している。

  オッペンハイマー氏はリポートで「米国が関税の方針を迅速に撤回し、経済への損害が長期化しなければ、下方向のリスクは限定的だろう。ただ、現在の株価評価水準では、上方向の余地も限定的とみられる」と述べた。

  こうした状況下では、投資は非常に困難になる。上昇と下落の両方が限定的と見られ、曖昧なヘッドラインリスクに意思決定が振り回されるためだ。市場参加者は、失速している上昇相場を追いかけて退出が遅れるリスクを負うか、さらなる急騰を見逃すリスクを負うかの選択を迫られる。投資家は、複雑なマクロ経済環境下でわなに陥らず、機会を捉えたいと考えている。

  多くの投資家は4月初旬、関税についての見通しが全く立たない状況でリスクを削減せざるを得なかった。そのパフォーマンスを十分に享受できるだけのエクスポージャーを持っていなかったが、現在は上昇相場に乗らざるを得なくなっている。

  ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのクロスアセット戦略マネジングディレクター、チャーリー・マケリゴット氏はリポートで、「大多数の投資家はマクロ経済の成長見通しに悲観的」だが、「鼻をつまんで強制的にエクスポージャーを買い戻す」動きが株式指数オプションでみられると指摘した。

  過去の例を参考にすると、4月に起きた株式市場史上最も急激な月内反発は、上昇余地を尽くした可能性がある。1980年以降、世界の株式市場が経験したベアマーケット・ラリー(弱気相場での株価上昇)は、平均で44日間続き、14%の上昇を記録した。今年の世界株式の下落は正式にベアマーケットとは認定されていないものの、4月7日に付けた日中安値からすでに18%上昇している。

  アカデミー・セキュリティーズのマクロ戦略責任者、ピーター・チア氏は、「金利とリスク資産は、引き続きヘッドラインに左右されるだろう。政策や合意が次々に市場を動かすことになる」との見通しを示した。

  同氏は明るい要素として、米国の中国に対する関税の姿勢に「一部緩和の兆候」が見られることや、米国の予算編成が動き出したことが挙げられるが、連邦準備制度理事会(FRB)が当面は金融下支えに動かない見通しのため、「既に多くの要因が価格に織り込まれている」と指摘した。

原題:Goldman Says Bear Market Rallies Are Norm as Pain Trade Thriving(抜粋)

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