あと3年でマジで乗れる。「空飛ぶクルマ」はもう現実の話です
空飛ぶクルマが飛んでる世界。それ、もうすぐ実現します。
ずーっと昔から人類が夢見てきた乗り物、空飛ぶクルマ。長いことSF作品でも描かれてきて、いつになったら乗れるんだ? とか思ってましたが、万博でいよいよ現実味を帯びつつあることを知りました。
空飛ぶクルマのデモ飛行を見ることができ、展示施設も用意されている大阪・関西万博。その内容を踏まえ、最新の空飛ぶクルマ事情、まとめてみたいと思います。
車じゃないけど、空飛ぶクルマ。車よりもヘリよりも高い利便性
Image: EXPO2025, ©丸紅エアロスペース㈱そもそも"空飛ぶクルマ"って何なのか。車のように生活の足となることをイメージして空飛ぶ"クルマ"と呼ばれていますが、実際にはeVTOL(イーブイトール)という人を乗せられるデカいドローンのような乗り物を一般的には指しています。
ヘリコプターと何が違うの? ってことですが、こちらは垂直離着陸が可能です。実はヘリって、斜めに離着陸しているんですよね。だから、大きな滑走路を必要とせず、点と点の移動を可能にするeVTOLは、より利便性の高い新たな交通手段として世界的に注目されているわけです。
また、エンジンで動くヘリに対し、空飛ぶクルマは動力が電気なのもポイント。環境負荷、コスト、騒音を低減できることも大きなアドバンテージになってます。
交通渋滞の激しい都市部での送迎、離島や山間部といった交通手段の限られるエリアでの輸送や移動、そして災害や医療目的の搬送など、社会課題を解決する手段としても世界で実現が望まれているのです。
2028年、大阪・大分から運航が始まるぞ!
ではでは、日本はどうでしょう。実は具体的な計画があるんです。
日本政府は8月28日、「空の移動革命に向けた官民協議会」を開き、今後の空飛ぶクルマの方向性を明示しました。それによると、2027~28年から一部地域で商用運航をスタートさせ、2030年前半から導入地域を徐々に拡大、そして2040年までには完全なる社会実装を目指すとしています。
Image: SkyDriveそんな最初期の都市となるのが大阪です。愛知県に本社を置く空飛ぶクルマの開発企業SkyDrive(スカイドライブ)は、Osaka Metroと提携し、2028年頃から大阪での商業運航開始を予定しています。
新大阪・梅田、森之宮、天王寺・阿倍野、ベイエリアの4つのエリアを結び、観光地を見下ろす眺め最高な移動を実現しようとしているそうです。
Image: SkyDriveまたSkyDriveは、大分県でも運航を計画しています。JR九州と連携し、2028年ごろには、別府湾での遊覧サービス、別府市内でのエアタクシー、別府と湯布院をつなぐエアタクシーの運航開始が想定されています。
別府と湯布院間は現在、鉄道で1時間、車で40分かかりますが、空飛ぶクルマなら15分程度で移動できちゃうそう。めっちゃ早い。そりゃ確かに、信号も道もない、直線で移動できる空飛ぶクルマは強いよね。
さらにJR東日本と提携し、岩手県での運航も予定されてます。
運航開始したら、実際いくらぐらいで乗れるのか気になりますよね。価格はまだ未定とのことでしたが、要人や富裕層のためだけのリッチな移動手段になるのか、それとも技術革新で当たり前の移動手段になるのか、このあたりは頑張ってほしい! 我々にもチャンスを!
上記の都市以外でも、東京都も本格的な空飛ぶクルマの導入構想を取りまとめています。観光目的だけでなく、都市内・都市間の移動や、空港へのアクセスなど、幅広いユースケースで利用が検討されています。
東京みたいな道路も公共交通機関もカオスな場所には、ぜひ導入していただきたいですよね。
乗り心地ナイスな機体に期待
実際に乗れるようになったとして、気になるのが乗り心地。冒頭で紹介したSkyDriveの機体(模型)は、万博内「空飛ぶクルマ ステーション」に展示されています。
Photo: 小野寺しんいち未来的でかっこいい。プロペラがたくさんついてます。
Photo: 小野寺しんいち実際に中に入って座ってみることもできました。
Photo: 小野寺しんいち想像以上に身体にフィットする座席。
横には大きな窓が配置され、ここから有名観光地を見下ろせたらさぞ感動するだろうなぁと想像が膨らみます。
Photo: 小野寺しんいちVX4 実機サイズの客室他にも展示されていたのが、イギリスのVertical Aerospace Groupによる、VX4機体の実機サイズの客室。
こちらはもう少しゆったりサイズで、セレブ感ある移動が楽しめそう。
この機体、最高速度240kmも出すことができ、大阪 - 神戸間を、電車なら65分、車で33分かかるところを、10分で結んじゃうんです。
Photo: 小野寺しんいちちなみに、空飛ぶクルマ ステーションの、JALが提供しているシアターでは、空飛ぶクルマが実用化された未来を体験できます。没入感あって結構面白いので、予約して行ってみるの、おすすめです。
世界中が、実現に向けいよいよ王手
この空飛ぶクルマ、現在世界各国でも、もうすぐ実用化、のところまで迫ってます。
この領域を牽引しているのが中国です。EHang(イーハン)が手がける「EH 216‑S」は、商用飛行に必要な「型式証明」を現在世界で唯一取得している機体です。
Image: AirXEH 216‑S型式証明とは、国が発行する"航空機の安全性を担保する証明"で、これがなければ実用機として空を飛ばすことができません。今回の万博で、当初人を乗せた空飛ぶクルマの飛行が予定されていましたが、結局断念したのはこれを取れなかったため。
EHangは今年3月、運航事業者が商業的に航空機を運航しても良いことを認める「OC(Air Operator Certificate)」も中国で取得しており、本格的に商用運航可能な状況が整いました。そして現在、2025年内の商用運航開始を目指しているそう。ってもう今年じゃん!
すでに、上海市、合肥市、深セン市、広州市でテスト段階の運航は始まっているようで、乗車運賃は1回あたりおよそ60ドル(約8,700円)と試算されています。思ったよりも破格では!?
もちろん、アメリカも黙っちゃいません。アメリカを代表する空飛ぶクルマメーカー、Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)は、2026年にドバイで商用運航をスタートする計画で動いています。そのほか世界中のメーカーも奮闘中。
もうSF映画の中だけの話ではありません。今年中に実現しそうな勢い。ほぼ完成というところまで、我々人類は辿り着いているんですね。
実現すれば、社会がもっと豊かになる空飛ぶクルマ
都市部の渋滞って本当に酷いし、満員電車もしんどいですよね。公共交通機関が減少しつつある地方部が増えている社会問題も浮き彫りになりつつありますし、災害大国日本における緊急時の搬送体制も必要です。
何より、「ちょっとそこまで、空飛んでいくか」なんてことが当たり前になる未来、ワクワクが止まらないじゃないですか。
いよいよ目前になってきた空飛ぶクルマ。乗れる日が待ち遠しい!(価格だけはバカ高にはしないでね!!)
Source: 大阪・関西万博, 経済産業省, EHang (1, 2), SkyDrive (1, 2, 3), 東京都, 日経XTECH