ナスカの地上絵、研究100年 AIで続々と発見重ねほぼ倍増 新たな意味も「解読」へ

 ナスカの地上絵は1世紀にわたり、科学者たちを魅了してきた。1926年、ペルーの考古学者トリビオ・メヒア・ヘスペ、米国の人類学者アルフレッド・L・クローバーらが、初めて体系的な研究を行った。その後1930年代になると、民間機が初めてペルー上空を飛行し、広く知られるようになる。 ギャラリー:ナスカの地上絵、研究100年 AIで続々と発見重ね「解読」へ 写真6点  それから100年。ペルー南部での地上絵の発見は、人工知能(AI)によって飛躍的な進展を遂げている。2024年9月に学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された研究では、わずか6カ月で300点以上の新たな図形が特定され、当時知られていた数のほぼ2倍となった。砂漠に刻まれた浮き彫り型(面タイプ)の図形には、家畜、人型の図像、人間の頭部などが描かれている。  論文の筆頭著者で、山形大学ナスカ研究所の考古学者である坂井正人氏が率いるチームは、IBM研究所の支援を受け、高解像度画像を用いて画像認識モデルをAIに学習させて、ペルーのナスカ台地における地上絵の分布に関する調査を高度化した。  新たに特定された地上絵は比較的小さく、ナスカ台地の代名詞とも言える広大で複雑な地上絵とは全く異なる役割を果たしていた可能性がある。  この発見は、カタログへの注目すべき追加であるだけでなく、これらの図形を取り巻く謎を解明するうえで、極めて重要な手掛かりとなる。

 ナスカの地上絵は、ペルー南部の乾いた台地を彩る動物、人物、植物、幾何学模様の巨大な地上絵だ。特に有名なものとしては、ハチドリ、クモ、そして長く渦巻く尾を持つサルの図柄が挙げられる。  早いもので紀元前100年ごろまでさかのぼると考えられている有名な地上絵は、平均して長さが約90メートルあり、地上から識別できるものもある。一方、AIによって見つかったものは、推定年代はほぼ同じだが、大きさは約9メートルで、砂漠の斜面や小道にひっそりと隠れている。  坂井氏は地上絵を研究し始めたとき、その真の目的を理解したいと考えた。90年代には研究を開始し、2004年以降は研究チームを組織して衛星画像、航空写真、ドローン映像を組み合わせて現地調査を行った。  約630平方キロという調査地域の広大さゆえに、その作業は骨の折れるものだったが、2018年、ある教授の助言に従ってAIを導入した。  坂井氏は米国ニューヨークのIBMと手を組み、ナスカ台地と周辺の砂漠の航空写真をスキャンするため、大規模な画像データセットで事前に学習された画像認識AIモデルを使用した。  AIモデルが提示した候補は考古学者が精査し、地上絵の可能性が高い1309カ所が選び出された。その後、チームは地上絵の候補を現地で調査し、検証のためにドローン撮影を行った。  この手法は「ゲームチェンジャー」だったと坂井氏は記している。新しい地上絵は、小さいだけでなく、風化の影響があり、斑点模様の砂漠とのコントラストがより微妙だった。従来の航空調査では、これらを発見するのは難しかっただろう。  その後も調査は続き、2023~2024年にはさらに248点の地上絵を発見したと、山形大学が2025年7月に発表した。このうち160点が具象的な地上絵で、これまでに確認された具象的地上絵は計893点になった。

ナショナル ジオグラフィック日本版

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