〈AIに戒名は作れるか〉住職専門誌の特集に賛否…法話、法名もAI化で住職は「『お寺の本質』があぶり出される好機」(集英社オンライン)
AIの普及が進む中、その影響は宗教界にも及んでいる。近年では戒名や法話の作成にAIを活用する事例が現れ、その是非をめぐる議論が活発化している。日本では高齢化に伴い死者数が増える一方、葬儀の小規模化や価値観の変化が進み、仏事のあり方も問い直されている。こうした状況のなか、AIは伝統や仏事のあり方にどのような変化をもたらすのか。本寿院と真宗大谷派正蓮寺の住職に話を聞いた。 【画像】2040年には1日当たり約4600人になる日本の死亡数
AIに戒名を作らせてみたらどうなるか――『月刊住職6月号』(興山舎)で特集されたこのテーマに対して、SNSではさまざまな声があがった。 「AIで戒名をつくるのはいいんじゃないかなぁ」 「仏教の戒名料はズバ抜けて高いですね」 戒名とは、仏弟子となった証として授けられる名前で、本来は生前に授かるものとされるが、現在は葬儀などで故人に授けられることが多い。宗派によって「法名」「法号」などとも呼ばれ、菩提寺の住職に授与してもらうことが一般的だとされている。 高額な戒名料をめぐるトラブルも指摘されているが、急速に普及するAIは戒名とどう関わるべきなのだろうか。 東京都大田区にある本寿院では、安価で戒名を授与するなど、戒名を取り巻く問題の解決に取り組んでいる。YouTube「三休の戒名チャンネル」で発信も行なう三浦尊明住職に話を聞いた。 「私自身、日々の業務や記録においてデジタルツールやAIの恩恵を積極的に活用しているため、テクノロジーの発展自体を否定する立場にはおりません。 膨大な経典の知識や過去のデータから、法話の構成案を作ったり、受者の経歴にふさわしい漢字の候補を抽出したりするツールとして生成AIを活用することは、時代の自然な流れであり、一つの『作業の効率化』として有効だと受け止めています。 テクノロジーの進化が、仏教の教えに触れるハードルを下げるきっかけになるのであれば、それは歓迎すべき側面もあると考えております」 このようにAIの可能性を認める一方で、AIが提示するものは「アルゴリズムに基づいた単なる文字列」だと指摘する。 「そもそも戒名とは、『死後の名前』ではなく『生前に授かるもの』です。生前に戒律を授かり、仏弟子としてこの人生を歩んでいくという『人生の誓い』なのです。 この大前提をご理解いただければ、戒名とは単なる漢字の羅列ではなく、心の宿る証であることがお分かりいただけるかと思います。 AIがどれだけ進化したとしても、我が子の名前をAI任せにしないのと同じように、参考にしたとしても、我が子や我が弟子の将来を心から願いをこめた『証』であると思っております。 AIが効率的に作成した文字列を戒名と呼ぶこと自体、本来の意義からすれば議論が成り立たないものと考えています。 ご遺族の深い悲しみに対して共に涙を流し、『心と心の対話』を経て授ける祈りのプロセスこそが、僧侶の介在する意味ではないでしょうか」