<主張>こどもの日 自分について考えよう 悩んだときの助けになる 社説
おはようございます。大型連休もそろそろ終わりですね。スポーツにキャンプにと活動的だった人、のんびり過ごした人など、それぞれでしょう。早寝早起きを心掛けて、学校生活に戻る準備を始めましょう。
最近は5月から6月にかけて、運動会や体育祭を開く小中学校も多いようです。もうすぐ運動会という人もいるかもしれませんね。学生生活の大きなイベントの一つですが、楽しみにしている人と、そうでない人がいませんか。
楽しみな人はきっと運動が好きでしょう。かけっこもダンスも思い切り力を発揮してください。
一方で、運動会がいやだなという人もいると思います。たいていは運動が苦手な人でしょう。そんな人に読んでもらいたいお話があります。小説家の辻村深月(つじむらみづき)さんが書いた「『苦手』と『嫌い』」(『あなたの言葉を』)というエッセーです。こんなふうに始まります。
<運動会の季節です。運動が苦手な人にとっては、運動会の季節はゆううつかもしれません。私も、昔からスポーツ全般が苦手。運動会や球技大会の時期が近づくと、心がざわざわしました。>
「私も!」と思った人は少なくないでしょう。
ところが辻村さんは、大人になって「自分が運動が好きかもしれないと思い始めました」といいます。友達に誘われてジョギングを始めたところ、だんだん長い距離が走れるようになり、できなかったことができる達成感を思い出したそうです。
そこで考えました。自分はひょっとしたら運動が好きだったのかもしれない。なぜ嫌いだと思い込んだのだろうかと。
<できなくて先生に怒られる、友達に嫌な顔をされる、(中略)自分は運動全般が苦手で嫌いなんだ、と考えるようになりました。>
でも、気づいたのです。「苦手でも好きなこと」があることに。
実はこの文章、今年の全国学力テスト小6国語の問題でした。注目してほしいのは続くこの言葉です。
<自分について分析したり、『自分の言葉』で整理して考え、知ることには、きっと大きな意味があります。>
そうです。辻村さんは、運動は「苦手」だけど「嫌い」じゃなかった。なかなか難しいことですが、自分という人間について考え知ることの大切さを教えてくれています。そして一歩進んで「自分の言葉」で考えてみてほしい、というのです。
もちろん苦手なことを克服するのはすばらしいことですが、もっと大事なのは自分という人間を知ろうとすることではないでしょうか。
昔のギリシャにソクラテスという偉人がいました。彼の有名な言葉に「汝(なんじ)自身を知れ(自分のことをよく知ろう)」というのがあります。人間は知っているようで実はあまり自分を知らないと考えたのです。
自分の気持ちや考えを知っていると、迷ったり悩んだりしたときの助けになります。自分自身の中にある答えを探すことから始めればいいからです。今日からはぜひ、自分について考えてみてください。