「岩屋降ろし」非自民保守系が存在感 中道は失速 衆院選・大分

当選確実の報を受け支援者らとハイタッチする岩屋毅氏(中央)=大分県別府市で2026年2月8日、李英浩撮影

 8日投開票された衆院選は大分県内でも自民党の勢力が増し、新党「中道改革連合」の失速が印象づけられる結果となった。昨年の参院選と同様に非自民の保守系候補が存在感を増すトレンドも続き、今後の県内政局の様相は流動的だ。【李英浩、森永亨、山口泰輝、岡田愛梨、久保田修寿、城井謙治】

 ◆2区

1+1が2にならず

 「中道改革の塊を作るために、その中心軸となっていくのが吉川候補だと確信しています」

出陣壮行式でガンバロー三唱をする(右から)吉村哲彦公明党県本部幹事長、吉田忠智立憲民主党県連代表、吉川元氏=大分県臼杵市臼杵で2026年1月27日午前10時1分、久保田修寿撮影

 衆院選が公示された1月27日午前。臼杵市の市街地であった中道前職、吉川元氏(59)の出陣式で、公明党県本部幹事長の吉村哲彦県議は声を張り上げた。隣に立った立憲民主党県連代表の吉田忠智参院議員に加え、選挙区内の公明市議や社民党県連幹部も応援に駆けつけた。

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 前回、保守分裂となった2区は自民が前職の広瀬建氏(52)に候補者を一本化。名実ともに与野党対決となる構図は公明が与党を離脱して政界が再編する中、伝統的に強い労働組合と公明の支持母体の創価学会の共闘が可能か、今後の県内政局を占う試金石だった。

 比例九州ブロックでも、中道の名簿の上位は公明出身者が占め、過去5回は比例復活だった吉川氏にとっては、選挙区での勝利が議席維持の条件。出陣式で公明、立憲の幹部が並んだのも、不退転の決意の表れだった。

 しかし、結果は広瀬氏に3万票以上の差を付けられ落選。得票は選挙区内の全ての市町で及ばず、地元の臼杵市ですら後塵(こうじん)を拝した。共同通信が投開票日に実施した出口調査では、前回の参院選で立憲、公明に投票した人のそれぞれ約8割が吉川氏に投票したと回答し、共闘は一定程度の成果は得ていた。それでも、「1+1が2にもならなかった」(吉田氏)という全国的な中道の失速を象徴するような完敗だった。

 ◆1区

敗れた吉良州司氏は引退表明

 「自分の権力体制維持のためだけに選挙というのは今まで無かった」

 全国的に自民圧勝が伝えられた8日夜、長年連立与党を組んできた公明の県本部幹部は、「高市旋風」の下で政策論争が置き去りにされたと嘆いた。自民派閥の裏金問題で逆風が吹いた前回選と打って変わり、今回は高い内閣支持率のまま選挙戦に突入した。

 1区には公示後3日で高市早苗首相本人が応援入り。2区、3区は回らずそのまま福岡県に遊説した日程からも、自民の党本部が新人の衛藤博昭氏(46)を重点的に支援した様子がうかがえる。

 選挙区6回、比例復活1回と当選を重ねてきた前職の吉良州司氏(67)は、今回の落選を機に引退を表明。野党が多弱化する中、長年労働組合の支持を受ける候補と自民候補が議席を奪い合った1区の構図が、今後も続くかは未知数だ。

 ◆3区

「岩屋降ろし」保守系が訴え

 3区では前回選のリベンジを期した中道新人の小林華弥子氏(58)が、11選を果たした自民前職の岩屋毅氏(68)との差を約7000票まで縮めた。前回は岩屋氏を推薦した公明票が小林氏に流れたことが善戦の一因との側面がある一方、選挙戦での「岩屋降ろし」(小林陣営幹部)も少なからず選挙結果に影響した。

 父親がかつて岩屋氏の後援会長だった日本保守党新人の岩永京子氏(64)は、公示後の第一声で「国益を損なう政治家を長年国政に送り続けた」と、手厳しく岩屋氏を批判。無所属新人の平野雨龍氏(32)、参政党新人の野中貴恵氏(41)も外国人に関する政策の厳格化を訴え、保守層から「リベラル」と目される岩屋氏への批判票を取り込む戦術に注力した。

 結果的に、保守系新人の3氏の得票数の合計は、約5万9000票と岩屋氏を上回った。特に3位に付けた平野氏は、共同通信の出口調査で10~40代の比較的若い世代が、投票先として挙げたトップだった。平野氏は選挙後、引き続き3区での政治活動を続ける意向を示しており、今後も台風の目となり得る。

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