【特集】「人生を狂わされた」住宅メーカーが破産…マイホームに2000万円支払い済…契約者の憤り【新潟】(UX新潟テレビ21)
5月に新潟市の住宅メーカーが突然事業を停止し、裁判所に自己破産を申請しました。この会社と契約を結んでいた人のなかには、マイホーム建設の夢が絶たれ、着手金などあわせて2000万円の返金が見通せなくなっている人もいます。 契約者の困惑と憤りの声を取材しました。 【動画】【特集】「人生を狂わされた」住宅メーカーが破産…マイホームに2000万円支払い済…契約者の憤り【新潟】 ■自宅新築を契約していた20代男性 「こちらが土地になりますね、一軒家が建つ予定だった。全然建たず、こんな状況になっている。」 長岡市に、念願のマイホームが5月末に完成しているはずでした。しかし、工事は地盤調査でストップ・・・土地は更地のままになっています。 ■自宅新築を契約していた20代男性 「ここらへんにはリビング・ダイニングキッチンがきて、洗面室・ランドリースペースがあったり計画していたんですけど。3月くらいから(業者と)全然連絡がとれなくなってしまって、そこから進捗(しんちょく)が分からない状況が続いていました。」 男性が契約したのは、新潟市江南区の住宅メーカー『ニコハウス』。 民間の調査会社「帝国データバンク」によると2014年に設立され、低コストを売りにした注文住宅の新築工事を手がけていましたが、新型コロナウイルス禍や他社との競合激化などにより経営が悪化。2020年9月期決算で大幅な減収となり赤字を計上し、2022年9月期には負債の総額が資産の総額を上回る〝債務超過〟に陥りました。 そして5月、自己破産を申請しました。 男性は、住宅ローンを組んで着手金など約2000万円を支払っていますが、ニコハウスから連絡はなく報道で〝破産〟を知りました。 ■自宅新築を契約していた20代男性 「一番 親身になってくれたりとか、価格帯もそうですけども自分たちのことを考えてくれた社長に裏切られたとしかいいようがない。」 6月2日、ニコハウスは初めて、工事が未完了となっている契約者を対象に説明会を開きました。参加者によると、約20人の契約者が出席。破産後初めて姿を見せた社長は、謝罪するのみだったといいます。 ■社長(参加者によると) 「本当に大きく裏切ってしまったと思います。今のところは謝ることしかできない。」 そして、代理人弁護士が破産の経緯を話しました。 参加者によりますと、会社側は2022年と2023年には2年連続の赤字となり、2024年も資金繰りが厳しくなっていたと説明。2024年11月に消費税の納税ができなくなり、12月には取引業者への支払いも遅れ、金融機関の融資も受けられなくなったと明かしたということです。 質疑応答では、2025年1月に着手金を支払った契約者から「再建の見込みがないのに契約したのでは」という疑問の声があがりました。 それに対し、代理人弁護士は- ■代理人弁護士(参加者によると) 「仕事を続けることで立て直そうとしたと聞いている。」 ■外構などが未着工 「お金が集まって返ってくるのかどうか、そこだけですね。」 ■1040万円支払い済(20代) 「質疑応答も個人の話になると『答えられません』だったので、もっと詳細にやってほしかった。」 ■900万円以上支払い済(30代) 「いま 妻が妊娠中で、(この件で)ストレスもあったのか切迫早産になってしまって悔しい。許せない。」 ■駐車場など未着工(30代) 「(駐車場ができず)不便ですね、雨の日とかどろどろになっちゃう。車のタイヤも物置にしまう予定でいたので、まだずっと外に出しっぱなし。早く完成してほしいな。」 ■約2000万円支払い済(20代) 「看板かかげて会社をやっているんだから、それなりの責任は負うべきであって「自己破産しました、すいません」で逃げられてしまうのがどうしても納得いかない。」 長岡市の20代男性は、住宅の工事が始まらない中、2025年3月に中間金の名目で1000万円を支払ったそうです。 ■約2000万円支払い済(20代) 「もう3月くらいになったら“破産”は分かってたんじゃないかなとか、なんかせめてそこで説明があれば、自分たちもふんぎりがつけたのかな。結果としてお金だけ取られただけなので、そこが一番納得いってない。」 元検事の飽津史隆弁護士。契約者らが刑事告訴をした場合、検察が受理する可能性があると話します。 ■飽津史隆弁護士 「(業者側に)建てたいという気持ちがあったとしても、資金繰りが難しく建てる能力がないんだということになれば、お客さんから代金を受け取れば『それはもう詐欺だよね』と認定されると思う。」 一方で、被害者に前払い金が全額返金される可能性は低いと話します。 ■飽津史隆弁護士 「もしかしたら一部被害弁償をするとかあり得るかもしれませんけども、そこはなかなか難しい。破産手続きのなかで一部しか被害回復できないのが現実的。」 帝国データバンクによりますと、住宅メーカーなど“建設業”の倒産は2024年全国で1890件にのぼり、過去最多となりました。建築資材の価格の高止まりに加え、人件費の高騰で継続を断念するケースが多いといいます。 一方、マイホームが完成せずに住宅メーカーが倒産した場合も、施主が保護されるケースがあります。 それが、『住宅完成保証制度』。 『住宅完成保証制度』は、国から指定を受けた住宅瑕疵(かし)担保保険を取り扱う会社「住宅保証機構」などが提供するもので、住宅保証機構の場合「追加の工事費用の一部を保証するプラン」と「前払い金の損害などの一部を保証するプラン」があります。ただし、この制度に申請し、技術能力など要件を満たして登録された事業者の工事のみが保証の対象となります。 ■住宅保証機構 芝謙一営業推進部長 「完成保証制度に登録いただいている時点で、ある程度 財務状況が健全と言えるとは思う。(ただし)100%倒産しないとは言い切れないので、あまり過信しすぎないことが重要。」 住宅保証機構の『完成保証制度』に加入している事業者は全国で320社、県内では7社にとどまっています。 ■住宅保証機構 芝謙一営業推進部長 「数や登録割合は少ない。事業者側から『住宅保証制度があります』と言うと、(施主から)倒産のリスクがあるんですかと言われてしまう。自らアピールするものでもないので、登録もする必要がないと思っていらっしゃる事業者が増えている。」 マイホームを建てるのは施主の責任で、依頼する事業者が会社の規模にあった工事をしているかなどを調べ、慎重に選ぶことが重要だと話します。 ■住宅保証機構 芝謙一営業推進部長 「その会社で過去に家を建てたOB施主に話を聞くのが良い。いろいろと考慮しながら事業者選びをしていただければ。」 ニコハウスの破産で、マイホームの夢が白紙になった長岡市の20代男性。妻と生後9カ月の子どもとアパートで暮らしていますが、11月からは月9万円のローンの支払いが始まります。 ■約2000万円支払い(20代) 「もうローンも始まってしまいますので、とりあえず実家に入りお世話になる形。夢と計画が全部台無しになったというか、人生を狂わされたなという思い。」 今後、ニコハウスに返金を求めていくことにしています。 ■約2000万円支払い(20代) 「お金が返ってきてくれさえすれば、次はステップアップで家を建てたい。土地もせっかくあるのに。きれいにお金を返してほしいと思います。」 元契約者らは、『ニコハウス元契約者の会』を作り、裁判なども視野に入れて活動していくということです。ホームページでは、情報提供を求めています。