メローニ伊首相、国民投票で敗北 初の痛手で立場弱まる
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イタリアで22、23両日、憲法改正の是非を問う国民投票があった。事実上、ジョルジャ・メローニ政権に対する信任投票となったが、メローニ氏が支持する案が否決され、同氏は「敗北」を喫した。メローニ氏にとっては首相に就任して初の痛手で、立場が弱まるとの見方もある。
国民投票は、裁判官と検察官の明確な分離を憲法で記すことの是非をめぐって実施された。両者を監督する個別の機関の設置や、新たな懲戒裁判所の創設も併せて提案された。
政府は、この改革が司法の独立性を高める上で重要だと主張。一方の野党側は、ファシズム体制の崩壊後に築かれた慎重な権力均衡を崩すもので、司法に対する政治の影響力が増すとして反対していた。
政権側のコミュニケーション不足などから、多くの有権者が国民投票の内容を理解するのに苦労した。そのため、在任期間3年半余りという、ほぼ記録的な長さになっているメローニ政権に対する信任投票へと、急速に様相を変えた。
投票の結果、「反対」が約54%、「賛成」が約46%となり、メローニ氏が支持した改革案は国民に退けられた。
イタリアに久々の政治的安定をもたらしてきたメローニ氏の右派連立政権にとっては、初めての大きな敗北となった。
メローニ氏は、開票が終わる前にソーシャルメディアに動画を投稿。国民が「明確な」投票をしたとし、その決定を尊重するとした。一方で、国を「近代化する機会を逃した」のは残念だとした。
野党各党は、総選挙を来年に控え、この結果を、有権者が変化を求めていることが示されたと持ち上げている。
野党・民主党のエリー・シュライン党首は、メローニ氏の敗北は「この政権に代わる選択肢がある」ことを示していると述べた。
投票用紙の質問は複雑だったものの、投票率は60%近くに達した。高い投票率は政府に有利とみられていたが、大きな流れを変えるには至らなかった。
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今回の国民投票は、メローニ氏にとっては悪いタイミングで実施された。
メローニ氏はドナルド・トランプ米大統領と盟友関係にあるが、トランプ氏はイタリアでますます不人気となっている。同氏が始めた中東での戦争も支持されていない。
イタリアの経済がすでに停滞しているなかで、多くの国民が、この戦争がエネルギーのコストに与える影響を懸念している。
メローニ氏は、国民投票の結果がどうあれ、首相を辞めることはないと明言している。2016年に憲法改正の国民投票を実施し、敗北して首相を辞任したマッテオ・レンツィ氏とは対照的だ。
メローニ氏は国民投票の前、「この投票は私に関するものではなく、正義に関するものだ」と述べていた。
レンツィ氏は、今回の結果が明らかになった後、メローニ政権はもはや「魔法の手」を失っており、有権者の声にもっと耳を傾ける必要があると、イタリアのラジオ番組で発言。「負けておきながら、口笛を吹いて退場するなどあり得ない」と述べた。
BBCのサラ・レインズフォード南東欧特派員は、今回の敗北でイタリアの連立政権の輝きはいくらか失われ、長年イタリア政界の強き女性として知られてきたメローニ氏自身も以前より弱い立場に追い込まれたと解説した。