「復興なんて、ないんじゃないの」 震災15年、復興予算一区切り 被災地住民は衆議院選挙に何を託す

 2月8日の投開票まで、戦後最短の政治決戦となる衆院選は、各地で真冬の舌戦が繰り広げられている。物価高、外国人との共生と地方創生、1次産業、そして外交・安全保障。課題は山積し、主権者であるわたしたちの1票が政権と日本の針路を左右する。大切な決断の座標軸を探る。

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被災15年で漏れた「本音」

大船渡市盛町の災害公営住宅・県営みどり町アパートⒸGoogle

 「復興なんて、ないんじゃないの」。衆院が解散した23日、大船渡市盛町の災害公営住宅・県営みどり町アパート自治会の飯島真由美会長(58)は、うんざりしたようにつぶやいた。

 東日本大震災から間もなく15年。「総仕上げ」を掲げた第2期復興・創生期間(2021~25年度)が終了し、岩手など津波被災地の復興予算は一区切りを迎える。災害公営住宅は高齢化が進む中、コミュニティーの支え手の確保は困難さを増し、現場の疲労は色濃い。

 飯島さんらはこの日、自治会運営を専門家が後押しする伴走型支援制度の創設を県に要望。「いつまでも助けられていられないけれど、今なくなるのは不安。努力は続けるが、限界はあるので、県と国が協力してほしい」と願った。

33兆円投じても埋まらない「空白」

 「災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野に」「一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができる」「二十一世紀半ばの日本のあるべき姿を目指して」―。震災復興の理念と被災地の未来を、復興基本法はこう打ち出した。

 全国の人々が復興増税を引き受け、33兆円が投じられた復興事業。住宅再建は進み、防潮堤や三陸道など重要なハードは整った。しかし、再起した人たちは生活に苦しさを抱え、人口減少や主要魚種の不漁で、地域と産業の先行きもはっきり見えない。今の姿は、復興の初志を貫徹できたと、住民は思えるだろうか。

2025年12月6日に開通した三陸道田野畑思惟IC=田野畑村菅窪(本社ドローンで撮影)

「終わったこと」にされた被災地

 今衆院選で各党は復興や防災について、支援の継続や国の責任での完遂、命やインフラを守るとの公約を掲げる。だが、震災直後の選挙に比べて沿岸部を訪れて実情を見たり、語ったりする政治家の姿は少ない。

 飯島さんも「終わったことなんだろう」と、取り残されたような思いを拭えない。「(災害公営住宅の住民は)思い描いた自立をできていない」。支援者の一人の言葉が、重く響く。

 災害への備えも、課題に直面する。地域力も市町村の体力も震災当時より細る中、本県では昨年、夏と冬に津波警報が出された。車での避難や暑さ、寒さ対策の必要性が突き付けられた。

犠牲者予想4400人─災害とどう向き合う

 日本海溝沿いの最大クラスの地震・津波想定で県内最多4400人の犠牲が懸念される久慈市では、昨年12月の青森県東方沖地震で渋滞が発生。寒さもあって、屋外の避難場所に逃げた人は少なかった。

 同市大川目町の防災士笹森正明さん(78)は国による備蓄倉庫の整備を求めた上で「日頃から防災訓練や減災を国として奨励し、知識のある人を増やすこと。平時と災害発生後の対策、どちらも命を守る上で重要だ」と訴える。

 15年前の「国難」と、今後起こり得る巨大災害。政治の向き合い方が、問われている。

2026/01/30

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