「持ちつ持たれつのところもあるんでね……」摘発されても“スカウト組織”が消えない本当の理由(ダイヤモンド・オンライン)
2025年の風営法改正で、風俗店などがスカウトに支払う「スカウトバック」が禁止された。スカウト組織の資金源を断つ狙いだが、現場では「それでもスカウトはなくならない」という声が根強い。なぜ違法化されても関係を断ち切れないのか。地方の性風俗店が抱える人材確保の実情や、スカウト組織との複雑な利害関係を追う。※本稿は、ジャーナリストの清水將裕、日本橋グループ*『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 2025年の風営法改正で スカウトバックが禁止に 2025年5月20日、改正風俗営業法が衆議院本会議で可決、成立した。 風営法は、戦後に法律ができて以降、時代の流れに合わせこれまで実に38回にわたって改正されてきた。 今回は、長年にわたって風俗店などがスカウト側に支払ってきた「スカウトバック」という報酬そのものを禁止するという、これまでの改正とは異質かつ厳しいものとなった。いわば、これまで認められてきた店とスカウトの間の取引、ビジネスを法律で規制して禁止するというものだ。 この改正によって、外見上はスカウト行為によって利益を生み出すことが難しくなり、スカウトグループの存続そのものを脅かしかねない状況になるという見方もあった。 違反すると、6カ月以下の拘禁刑、もしくは100万円以下の罰金が科されることになる。早速7月18日には、熊本県で風俗店に女性を紹介したスカウトにスカウトバックとみられる報酬を支払ったとして、店の経営者2人が逮捕された。 風営法の改正によって新たに設けられたこの容疑での逮捕は、全国初となった。その後も同様の摘発は全国で相次いでいる。
風営法の改正は、スカウトバックの禁止によってスカウトグループを狙い撃ちにするのがもともとの目的というより、ホストクラブによる色恋営業の対策から浮上した側面が大きいだろう。 ホストが女性客に対して色恋営業を仕掛け、払えないほどの多額の売掛金を抱えた状態にさせることが度々大きな問題になっていた。ホスト狂いの客に対して性風俗店で働くように勧めることも珍しくなく、ホストは風俗店に自分の客を紹介したり、あるいはスカウトにパス(引き合わせ)したりして、報酬を受け取るという流れができあがっていたのだ。 さらに悪質な場合は、客が風俗店で働いてある程度収入を得るようになると、売掛金を返済させるだけでは終わらず、ホストがまたその女性を店に通わせてさらにカネを使わせ、自らの収入に繋げるということをやっていた。 法改正では、ホストによる色恋営業と合わせてスカウトバックも禁止することで、高額な売掛金を抱えた客が風俗店で働かざるを得ない状況を防ぎ、さらにはおカネが貯まるとまた店に通うという、無限ループのような構造を断ち切る狙いがあったという。 ● スカウトの紹介なしで 働く女性を集められるのか しかし、はたして法改正によってスカウトという存在はなくなるのだろうか。 ナチュラル(編集部注/日本最大のスカウトグループ)だけでなく、他のスカウトグループや風俗店の経営者に聞いても、答えはいずれも「NO」である。 「スカウトマンの紹介を完全にゼロにして店が営業を続けられるかといったら、それはかなり難しいよね。店のホームページとかSNSで、働く女性を集めるのもそりゃこのご時世だからみんなやっているけど、それだけではなかなか来ないよ。 特に地方のソープランドやヘルスは、そもそもその土地に夜働けるような若い人が少ないし、募集をかけたって東京からわざわざ地方まで来るのは、ごく稀だよね。いま、地方に働きに来ている子も、ほとんどはスカウトに紹介され促されてというパターンだし。路上でもSNSでもやり方はともかくとして、実際に声をかけて口説くっていうのは、結局はその道のプロであるスカウトにしかできないと思うよ」(風俗店のオーナー)