石破首相夫人、外交の場で「若者向けブランドのワンピース姿」に違和感…透けて見える“無関心”が示す国民との距離

<気軽な服装で心安い態度をとるのは、よほどに自信がなければできないことだ。>(『冬の夢』 フィッツジェラルド 訳 小川高義)  これは、『グレート・ギャツビー』などで知られるアメリカの作家、フィッツジェラルドの短編からの一文です。服装にかまわずに余裕をもって他人と接することができる人は、どれだけ自分を過大評価しているのだろう、ということを反語的に書いています。  では、このケースはどう考えたらよいのでしょうか?

ベトナムを訪問中の石破首相夫人「ワンピース姿」が物議

ベトナムのトー・ラム党書記長夫妻主催夕食会に出席した佳子夫人画像:外務省 Xより

 ベトナムを訪問中の石破茂首相が公式SNSに妻、佳子さんの写真をアップしたところ、花柄のワンピース姿に違和感を覚える人が続出しているのです。  体型より大きめのサイズで洋服に着られている感があったり、ノーメイクに見えたりすることから、“だらしない”と感じた人が多かった様子。  またこのワンピースが主に20~30代をターゲットにした「SNIDEL」(スナイデル)というブランドのものではないかと指摘する声もあり、一国のファーストレディにふさわしい装いなのかと疑問を呈する声も見受けられました。  確かに似合っているとは言い難く、実年齢に対して若い服装をすると、かえって逆効果に映ります。  石破佳子夫人のワンピース問題。論点を整理したいと思います。  まず「SNIDEL」を選んだ理由。これが佳子夫人自身のチョイスだったとしたら、いまだに20代か30代、多く見積もっても40代ぐらいの感覚でいるのではないかと想像します。つまり、自分が一番輝いていた時期をキープできている、もしくはその姿を追い求めても、そんなに不自然ではないと考えている。だからこそ、あのフワフワのデザインでもいけると思えたと見ることもできるでしょう。  そうだとすれば、これはキラキラの学生時代から全くヘアスタイルの変わらない片山さつき参院議員と同じ傾向にあると言えます。時代は移り変わっているのに、自分が最高だった時期に至上の価値を置いてしまう。それゆえに、若さの呪縛から逃れられず、かえって痛めつけられているように見えるのです。  佳子夫人のワンピースにも、だらしなさ以上に、参考にすべきモデルが若かりし頃の自分しかないという悲しみが透けているのです。  中には“68歳だからといってSNIDELを着ちゃいけないわけではない”という声もありますが、海外の政治家、ファーストレディで、このように人形みたいな格好で公の場に登場する人はいません。欧米に限らず、中国でも韓国でもフィリピンでもいません。  場を和ませようと、あえてリラックスしたトーンの服を選んだ可能性も否定できませんが、外交の場においては、ゆるふわが強調されすぎているきらいがあります。そのような抜け感を出すならば、洋服全体ではなくディテールやアクセサリーなどのワンポイントで表現したほうが、より効果的だったはずです。

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