トランプ政権の一部閣僚、大統領がひそかに降機後も「おとり」の大統領専用機に残っていた 万一に備えと米報道
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ブランドン・ドレノン記者、バーント・デブスマン・ジュニア・ホワイトハウス担当記者
アメリカのドナルド・トランプ大統領が先月トルコからの帰国時、安全上の懸念からひそかに大統領専用機から別の軍用機に乗り換えた際、政権の閣僚2人がそのまま大統領専用機に乗り続けていたと、米CBSニュースが12日に伝えた。トランプ氏に万が一のことがあった場合に備え、後継者を確保するためだったという。
BBCがアメリカで提携するCBSによると、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議のため、トランプ氏と共にトルコ・アンカラを訪れていたマルコ・ルビオ国務長官とスコット・ベッセント財務長官は7月8日、アンカラ空港から出発した大統領専用機エアフォース・ワンの機内に留まっていた。安全上の懸念からトランプ大統領が乗り換えた軍用機には搭乗しなかった。
「エアフォース・ワン」とは厳密には、アメリカ大統領を乗せた航空機のコールサイン。しかしこの時は、トランプ氏が乗ったC-32Aは「リーチ18」というコールサインを使用した。偽装工作のため、コールサイン「AF1」は記者団を乗せた航空機が使い続けた。
トランプ氏はアンカラ空港で、政府関係者や報道関係者とともにいったんエアフォース・ワンに乗り込んだ後、機内食を運ぶトラックに身を隠し、ひそかに軍用機へと移動した。
画像提供, Associated Press
CBSによると、ルビオ氏とベッセント氏は、トランプ氏に何かあった場合に備え、後継者を確保するために最初の航空機に乗り続けたという。
大統領が死亡または職務遂行不能となった場合、まずは副大統領のJ・D・ヴァンス氏が権限を継承する。副大統領が職務遂行不能となった場合は続いて下院議長、上院仮議長が権限を掌握する。
そのほか、トランプ氏がすでに降機した飛行機に残った政権関係者には、ホワイトハウスのスティーヴン・ミラー大統領次席補佐官、スティーヴン・チャン広報部長などが含まれる。
米メディアの報道によると、トランプ大統領がアンカラを離れる際に乗っていた軍用機には、ピート・ヘグセス国防長官も同乗していた。大統領の側近、ナタリー・ハープ氏、ダン・スカヴィーノ次席補佐官、そしてウォルト・ナウタ大統領執務室運営局長も同行していた。
トランプ氏は11日夜、記者団に対し、飛行機をひそかに乗り換えたことを認め、「自分は(大統領警護を担当する)シークレット・サービスと軍の指示に従う。別のフライト、別の飛行機に乗って欲しいと言うので、自分はそうするしかないんだ」と話した。
どのような安全保障上の脅威が懸念されていたのかは、不明なまま。トランプ氏は具体的な内容を明らかにしておらず、自分は「多くの脅威にさらされ」ていると述べるにとどまっている。
「影響力のある大統領なら、多くの脅威にさらされるものだ」とも、トランプ氏は述べている。
複数の米メディアは、当時懸念されていたのは肩に担ぐミサイル発射装置による攻撃だったと伝えている。イラン側がトランプ氏が宿泊するホテルの階に至るまで、その居場所を把握しているのではないかとも、懸念されていたという。
米紙ニューヨーク・タイムズは、匿名当局者の話として、トルコの首都アンカラで開催されたNATO会議の会場付近で、携帯型の地対空ミサイルを携行している人物が目撃されたと報じた。
閣僚やその他の政府関係者、そして機体整備に携わっていた空軍関係者が、この作戦についてどの程度知っていたかは分かっていない。同行記者団は、「おとり」状態になった飛行機に自分たちが乗っているとは、知らなかったと話している。
大統領警護のシェル・ゲーム
大統領の居場所が外部から特定できないように偽装する作戦を、大統領警護を担当するシークレット・サービスは「シェル・ゲーム」と呼ぶ。「シェル・ゲーム」とは一般的に、3つのカップに一つの物体を入れて、カップを目まぐるしく動かすことでどれにお目当てのものが入っているのか分かりにくくしたうえで、相手に当てさせるゲームのこと。
例えば、大統領専用の重装甲リムジンは、同じ仕様の車両同士が車列の中で位置を入れ替えることがよくある。大統領を乗せて飛ぶヘリコプターも同様だ。
危険度の高い国外では、さらに大掛かりな偽装作戦が行われることが多い。その場合、エアフォース・ワンに同乗する記者たちは通常、事前に説明を受け、大統領の刻一刻の動きをリアルタイムで報道しないよう求められる。
例えば2000年3月、当時のビル・クリントン大統領は、エアフォース・ワンの塗装を施したおとり機ではなく、それに続いて着陸した具体的な標章のない飛行機でパキスタンの首都イスラマバードへ飛んだ。
この際ホワイトハウスは事前に、ホワイトハウス記者協会の当時の会長だったUSAトゥデイのスーザン・ペイジ記者に警備体制について通知していた。
「(ホワイトハウスは、イスラマバードへ)飛行機で向かう危険性を考慮して、おとり機の使用を含め、特別な安全対策が講じられていると私に話した」と、ペイジ氏は11 日付の米紙ワシントン・ポスト記事で初めて明らかにした。
「もちろん、危険はクリントン大統領だけでなく、その訪問を取材していた記者たちにも及んでいた」と、ペイジ氏はワシントン・ポストに話した。
ルビオ氏、ベッセント氏、その他のホワイトハウス職員、ホワイトハウス記者団を乗せた飛行機が、アンカラから帰国する際にどのような危険にさらされていたのか、あるいはそもそも危険にさらされていたのかどうか、現時点では明らかになっていない。
ホワイトハウス記者協会はこの件について公式にはコメントしていない。しかし、同協会のジャッキー・ハインリッヒ会長は記者団宛ての内部メモで、この件に関して政権関係者と会談したことを明らかにした。
ハインリッヒ氏は、「大統領について、報道機関の報道の独立を維持すること、そして大統領の行動に関する正確な歴史的記録を残すことの重要性を強く主張した」と述べた。
ハインリッヒ氏は、安全保障上の異常事態が今後発生した場合の対応手順を、協会と協力して策定するよう、ホワイトハウスに要請したという。