「28人全員当選」は勝ちすぎた…「公明に騙された」と語る立憲"落選者"に創価学会が困惑する理由(プレジデントオンライン)

衆院選で中道改革連合の公明系は比例に回った28人が全員当選した。一見すれば勝利だが、立憲系の大量落選で「公明に騙された」との不満が噴出している。雑誌『宗教問題』編集長の小川寛大さんは「全員当選はむしろ公明党・創価学会にとって危機だ。次のパートナーが見えず、次の選挙まで時間もない」と指摘する――。 【写真をみる】公明系候補の「28人全員当選」は、創価学会にとってむしろ最悪の結果だった ■公明党は“ホクホク”状態なのか  公明党・創価学会側の動揺も相当なものだ。  2月8日に投開票が行われた衆議院議員選挙で、立憲民主党と公明党が合併する形で立ち上げられた新党・中道改革連合は、歴史的な大敗を喫した。何しろ今回の衆院選前に公明党と立憲民主党が持っていた議席の合計は165だったにもかかわらず、当選できた中道改革連合の候補者はわずか49人だ。惨敗としか言いようがない。  ただし今回の衆院選で、公明出身の候補者たちは小選挙区に出馬せず、全員が比例代表に回った。その結果、公明系議員の議席数は選挙前の21から、28に増えている。しかし、原則として小選挙区に挑んだ立憲出身の候補者たちはほとんどが落選し、当選者は実に21人だった。  これをもってSNSなどには、「中道改革連合とは結局、公明系が立憲系をだまして利用するための道具にすぎなかった」といった論評が多々書きこまれるような事態にもなっている。そして選挙結果それ自体は、そう言われても仕方がないような数字を確かに示している。  実際のところ、公明系議員は本当にこの惨敗の裏で舌を出し、“ホクホク”の状態なのだろうか。ただ複数の関係者へ率直にそれを問うてみると、「とんでもない。われわれだって頭を抱えている」と、即座に否定する。この背景には、いったいどのような事情があるのだろうか。

■「宗教票」は衰退し続けている  そもそも公明党とは周知のように、新宗教団体・創価学会をその母体とする政党である。その創価学会とは会員(信者)数・827万世帯を公称する、日本最大の新宗教団体だ。その組織的基盤の上に公明党は、全国の衆院小選挙区において1選挙区あたり1万〜2万票程度の集票力を持っているとされる。  そのこと自体は確かにものすごい話なのだが、現在の衆院小選挙区にて1万〜2万票という数字は、それ単体で独自の候補を当選させられるものではない。よって公明党は1996年から衆院選に小選挙区制が導入されて以来、大半の期間を自民党と連立を組み、自民党との選挙協力体制を構築することで乗り切ってきた。つまり、衆院小選挙区から出馬する公明党の候補は、自民党から保守票をいわば借りることで、選挙戦を勝ち上がってきたのである。  しかし、1999年から続いてきた自公の連立は、昨年10月に崩壊した。繰り返すが実は公明党とは独力にて、衆院小選挙区で勝利することが基本的にできない政党である。そして比例代表にしても、衆院選で公明党が集める比例票は2005年の898万票を頂点にして、24年には596万票まで落ちた。  最大の原因は、2023年に死去した創価学会のカリスマ・池田大作名誉会長と直接触れ合った記憶を持つ、熱心な学会員たちの高齢化である。そして、創価学会が池田氏に代わる新しいカリスマを生み出せていない状況で、この流れが好転する可能性はあまりない。  こうしたことを前提に、特に自公連立が崩壊した昨秋以降、創価学会の周辺では「このまま次の衆院選に突入したら、公明党は10人ちょっとくらいしか当選者を出せないのではないか」といった懸念が、深刻に語られてもいたのだ。 ■「中道」結党で生き残りをかけたが惨敗  中道改革連合とはまさに、創価学会側から見れば「実は独力で選挙に勝てない公明党」が何とか生き残りをかけて、立憲民主党を新しいパートナーにして立ち上げた党と見ることのできる存在だ。  もちろん、この新党が具体的にどういう話し合いの結果として結党されたのか、またなぜ公明系が小選挙区から撤退することになったのかなどは、合流した関係者(特に立憲系の一般議員たち)からですら、「何も聞いていない」といった批判が出ている状況で、現状において外部から詳細な分析をすることは難しい。  ただ結果として、比例代表に集中した公明系候補は、従来からの公明票に立憲支持層からの票を加えた数字で勢力を拡大させ、一方で小選挙区から選挙に打って出た立憲系候補たちは、自民党に吹いた“高市早苗旋風”に蹴散らされて惨敗を喫することになった。

プレジデントオンライン
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