ウクライナ戦争とガザ紛争から習近平が学んだ「3つの教訓」とは?台湾侵攻に当てはめると…やはり日本も他人事じゃなかった(ダイヤモンド・オンライン)

 ウクライナ戦争では、圧倒的な戦力差があるはずのロシアが苦戦し、アメリカは軍事介入を避けた。この現実を、習近平は「台湾侵攻のモデルケース」として見ているという。果たして、中国は台湾に攻め込むのか?そして、そのときアメリカは動くのか?※本稿は、福山 隆『トランプ帝国の「ネオ・パクス・アメリカーナ」-米中覇権戦争の行方と日本のチャンス』(ワニ・プラス)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● ロシアの意外な苦戦を 台湾侵攻に重ねた習近平  ウクライナ戦争開戦当初、譬えて言えば“大人と子供”のように戦闘力の差があるロシアとウクライナの戦いは、プーチンの当初の楽観的な戦争の見通しを覆す結果となった。  これは、同様に中国も、“大人と子供”のような戦力差の台湾に対して簡単に勝利・屈服することは困難であることを意味している。これが習近平の学んだ第1のポイントだ。  プーチンは、2022年2月24日に兵20万人をウクライナに送り込んだとき、「数日もすれば首都キーウを制圧し、ウクライナ政府を倒せる」と、確信していたはずだ。ところが、現実は現時点(2025年6月)まで、ウクライナ戦争は3年余にわたって続いており、戦線はほぼ膠着したままである。  2025年3月時点でのウクライナ戦争におけるロシア軍の損失は、人的・物的に甚大である。  『ニューズウィーク日本版』(2025年3月24日号)によれば、ウクライナ侵攻によるロシア軍死者数は最大25万人と、第2次世界大戦以降で最多という。また、英国防省の新たな分析によると「2022年の侵攻開始以来、ロシア軍の死傷者数はおよそ90万人に達している可能性がある」とのことだ。

 また、ウクライナ国防省は、2025年2月10日で、ロシア軍の戦車1万両、装甲戦闘車両2万813両、火砲2万2879門、多連装ロケット1273門・両、ドローン2万4623機、軍用ジェット機370機、ヘリコプター331機、各種艦艇28隻、潜水艦1隻などを破壊したと発表した。  イギリスのシンクタンク、国際戦略研究所によれば、ロシア軍は侵攻開始前の2022年初頭の時点で約3000両の戦車を現役配備し、それ以外に予備保管しているものを含めると最大1万200両もの戦車を保有していたそうだが、その大部分が失われたことになる。  兵員と武器の損耗だけ見ても、戦争の長期化がロシア側に深刻な影響を与えていることがうかがえる。 ● 圧倒的弱者のウクライナは 国民の一体感と国際支援で戦う  一方のウクライナはゼレンスキー指導のもと、国民も軍も3年以上、ロシアの猛攻に耐え善戦している。  ウクライナが善戦しているおもな理由は、第1に、国民の団結と士気がある。ウクライナの人々は、自国の独立と自由を守るために強い意志を堅持し、戦争下の辛い生活に耐えている。  第2は、国際的な支援である。アメリカやヨーロッパ諸国からの軍事支援・訓練や経済的支援が、ウクライナの防衛力を強化している。これらの要因が複合的に作用し、ウクライナが耐え続ける力を支えている。  習近平が学んだ第2のポイントは、ロシアが核兵器を使えないということだ。  プーチンは核兵器使用をちらつかせてゼレンスキーとNATOを恫喝したものの、結局核兵器は使用できないでいる。習近平も台湾に核兵器を使うことが極めて困難であることを学んだはずだ。  習近平が学んだ第3のポイントは、ロシアもアメリカやヨーロッパとの戦争に踏み切ることを極めて慎重に回避していることだ。ウクライナ戦争がロシアの対欧米戦争にエスカレートすれば、第3次世界大戦に繫がる恐れがあり、その被害は桁違いとなることを承知しているからだ。  習近平が台湾に侵攻する場合、アメリカとの戦争を回避できる確証が必要となるだろう。  習近平はガザ・イスラエル戦争からも深い教訓を得たと思われる。  イスラエルとハマスの戦力差、地政学(陸続き)、人口密集地であることなどから見れば、ハマスは短期間に白旗を揚げるとみられていた。

ダイヤモンド・オンライン
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