「期待に沿えず本当に申し訳ない」三菱商事・中西勝也社長が鈴木秋田県知事に直接謝罪 秋田沖の洋上風力発電の事業撤退で県庁訪問
三菱商事の中西社長は、8月29日午後1時50分過ぎに秋田県庁を訪れた。 面会の冒頭、中西社長は「きょうは時間をいただきまして誠にありがとうございます」と口を開いた。 そして「この度、洋上風力撤退という判断をし、秋田の皆さまの期待に沿える結果が出せず、それをまずおわびしたくて参りました。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。 中西社長は、3年前に開設した秋田支店は継続する考えを重ねて示し、これまで進めてきた地域共生の取り組みも続けていく考えを伝えた。 これに対し、鈴木知事は「残念ながら撤退で、私もおととい会見を拝見していたが、誠に残念で遺憾というほかはない。秋田は長い間、人口減少で経済低迷に苦しんでおり、再生可能エネルギーという秋田の資源を生かした千載一遇のチャンスだと、地元の官民をあげて大きな期待を寄せていた。大変な落胆というのが正直なところ。地域共生の話をしていただいたが、こうなった以上、さらに力をお貸しいただきたい」と述べた。
報道陣が退席後、中西社長と鈴木知事は非公開で10分余り会談した。 面会後、中西社長は「おわびしたことについて大変厳しい言葉をいただきつつも、未来志向で新しいことにチャレンジしていくという激励もいただいたことは、大変心強く、ありがたかったというのが本音」と話した。 一方、鈴木知事は「謝罪のあいさつとしては、私としては誠意は感じられた」と述べた。 報道陣から「先行投資していた県内企業への支援をどうするか」と問われると、鈴木知事は「これまでの取引の状況を全て把握しているわけではないので、民間同士の取引がどういう状況になっているのか速やかに把握したい」と、まずは県内企業の状況把握に努める考えを示した。
事業を管轄する経済産業省では、武藤容治経産相が、三菱商事が撤退を表明してから初めて会見に臨んだ。 武藤経産相は、三菱商事に対し「日本を代表する企業として責任を重く受け止めていただきながら、地元の方々に対しても最大限の真摯な対応を行っていただきたい」と述べた。 そして、撤退した3海域については、地元の意向を踏まえて再公募を速やかに検討していく考えを示し、「事業環境が変化する中でも洋上風力プロジェクトが着実に実施できるよう、必要な制度を含めた事業環境の整備を進め、できるだけ速やかに再公募を始める」とした。 (秋田テレビ)
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