石丸伸二氏、退任意向会見は苦言から 朝日に見出し「印象与える」、日経は写真「意地悪」
地域政党「再生の道」の石丸伸二代表は27日、代表を退く意向を示した記者会見の直前、メディアの報道ぶりについて苦言を呈した。自身の進退に絡む記事に添えられた見出しと写真について、それぞれ朝日新聞と日経新聞の記者に対し、計約12分にわたって指摘を重ねた。
「評価が加えられる事実」の見出しに注文
「いつものメディアの皆さんとコミュニケーションの時間を取っておきたい」
着座した石丸氏はこう切り出すと、朝日新聞の担当記者を名指しし「最近連絡が取れなくて失礼。なぜ連絡が取りづらいとお考えか」と尋ね、「朝日新聞社に良からぬ印象を持っているので、ついつい後手に回ってしまう」と説明した。
その理由について朝日新聞が自身について報じた「代表を辞任へ/都議選と参院選で全敗」との見出しを挙げ、「最後の一文、どういう気持ちでつけたか」と述べ、「メディアの皆さんは『事実を伝えるんだ』と強弁されるが、同時に印象を与えている」と指摘した。
結婚式を例に「新郎の紹介で『実は彼は離婚歴がありまして…』と。事実でも、もし言ったとしたら意図がありますよね。『新婦は実は彼氏がこれまで10人いて…』と。事実でも、言う所に意味がある。単なる事実だけではなく、評価が加えられる時がある」と強調。
記者会見に臨む地域政党「再生の道」の石丸伸二代表=27日午前、東京都港区(松井英幸撮影)「愛や平和を叫んで憎悪をまき散らす」
その上で、「朝日新聞に限らず、いわゆる左派に多い傾向だ。一般的にリベラルは愛と平和をうたう立場かと思うが、実態として、愛だ、平和だ、を叫びながら、憎悪をまき散らしている」と「持論」を語った。
「『自分たちは主義主張しているに過ぎない。批判を加えているだけだ』といいながら、他の誰かがやったら『それは攻撃だ』と。急にダブルスタンダートを使ってくる」とも語った。
朝日記者は個人的な見解を伝えたが、石丸氏は「事実を書いたということですね。じゃあ、今後朝日新聞に言及する際は、必ず『世紀の大誤報で国益を損なった朝日新聞』という枕詞(まくらことば)で紹介されたいですか」と返した。
「大誤報」の中身は言及せずに、石丸氏は「事実ですよね。でも、そうしないじゃないですか。それをやって建設的なことになりますか」と疑問視し、事実と思惑を織り交ぜた報道姿勢について「危うい」と強調した。
「…なら仕事の意識低い」
石丸氏は矛先を日経新聞に向け、今度は写真について苦言を呈した。
「きょう記者会見やるという記事が出ていたが、その際の写真がまた意地悪だなと思わないか」
日経記者は「特段の意図をもって選んだとは考えていない」と反論したが、石丸氏はスマートフォンで該当する記事の写真を示し「こういう写真です。特に意図なく、私がこういう表情をしている写真が選ばれた。普通に目を開いて正面を向いている写真はなんぼでもあったかと」と述べた上で、「もし意図なく選んだとしたら、仕事の意識、低いですよね」と語った。
写真は石丸氏がしかめたような表情で目をつむっているというもの。
石丸氏は「日経新聞だけは最後までまともであるに違いないと思っていたが、日経新聞ですらこんなことをやっているようじゃ、日本経済ダメになる」と語ると、日経記者も「意図がない」との発言は修正し「指摘を受け止める」と語った。
石丸氏は「これは広くメディアの皆さんにいつもお願いしているところです」と述べると記者団の一部から手が上がったが、本来の会見を始めた。(奥原慎平)