話題集めるNintendo Switch 2の第5回抽選 応募条件の変化が示す、在庫不足解消へのシナリオ

 任天堂は7月2日、同社の公式オンラインショップ・マイニンテンドーストアにおいて、Nintendo Switch 2の第5回抽選応募受付を開始した。 参考:【写真】次世代ゲームハード・Nintendo Switch 2、Joy-Con 2接続部の接写などフォトギャラリー  本稿では、同抽選における応募条件に着目し、そこから考えられる任天堂の意図、今後の展開などを予測する。近く、Nintendo Switch 2の流通状況は大きく改善を見せていくのかもしれない。 ■第5回抽選では応募条件が変更に。さらに狭まった購入への門戸  4月4日に第1回の受付がスタートして以降、さまざまな形で界隈を賑わせている同機の抽選販売。今回開始となった第5回では、新たな応募条件が追加されたことも話題を集めた。  第4回までにおいては、「2025年2月28日時点で、Nintendo Switchソフトのプレイ時間が50時間以上であること(体験版ソフト、無料ソフトを除く)」「応募時点で『Nintendo Switch Online』に累積1年以上の加入実績があり、応募時にも加入していること」の2点が応募の条件となっていたが、第5回ではこれに、「マイニンテンドーストアにおける第1回から第4回の抽選販売のいずれかに応募された履歴があり、一度も当選されていないこと」「本抽選販売への応募締め切り時点において、ニンテンドーアカウントにNintendo Switch 2 と連携した履歴がないこと」の2点が新たに加えられることに。任天堂によると、この変更は「できるだけ多くの方のお手元にNintendo Switch 2をお届けするため」のものであるとのこと。今回付加された条件により、「なんらかの方法で、すでにNintendo Switch 2を手に入れた人」は抽選から除外され、さらに「第5回から新たに抽選へと参加すること」も不可能となった。結果として、候補者の選別はより厳しさを増した形だ。  また、第5回の抽選は7月24日午前11時まで応募を受け付け、当選し購入手続きを行った場合には、9月以降(9月15日まで)に商品が届けられる予定だという。第4回までと比較すると、受付期間が長く、当落発表や商品の到着までも、より時間を要する形となった。任天堂は案内のなかで「今回の抽選販売は、今後生産予定の商品をあらかじめご予約いただくもの」と言及している。こうした変化を受け、界隈では「実質的な受注生産なのでは?」といった声も飛び交った。その一方で、SNS上には「このスケジュールでは、(7月17日発売のNintendo Switch 2専用タイトル)『ドンキーコング バナンザ』に間に合わない」という悲鳴も散見されている。 ■応募条件の変更が意味するもの。第5回抽選を契機に、在庫不足は解消へ?  なぜ第5回の抽選はこれまでと異なる条件で行われることになったのだろうか。おそらくそこには、なにかしらの意図があるはずだ。  任天堂は4月24日、第1回の抽選に想定を超える220万件の応募があり、落選者が多くなってしまったことに対し、「今後さらに生産体制を強化し、出荷台数を増やす計画である」と説明していた。他方、ローンチ直後には、前世代機を上回る初動を記録したことが明らかに。そのような結果から、同社が需要が大きくなることを見越し、一定の準備を進めてきたであろう実態も見えてきている。直近では、小売店の実店舗において、抽選を必要としないゲリラ販売が行われたことも話題となった。  このような現状を踏まえ、第5回抽選における変化を考えると、任天堂のみが知り得るNintendo Switch 2の流通の今後が見えてくる。同社が当初準備していた「生産体制の強化」「出荷台数の増加」は、第5回の発送が行われる9月前半を目処に成果が出はじめ、その後は十分な生産数のもと、思い描いていたであろう「欲しい人の手元に行き届く状況」が確立されていくのではないか。  つまり、応募者は仮に今回の抽選に漏れたとしても、第6回以降の抽選を含む別の機会などで近い時期に手に入れられる可能性が高い。任天堂にしてみれば、「その時点で1台目を購入できていない既存の優良顧客には優先的に手配したい」という想いもあるはずだろう。案内に盛り込まれた「今回の抽選販売は、今後生産予定の商品をあらかじめご予約いただくもの」という説明も、こうした経緯や見通しを暗に示したひとつの端緒と考えることができるかもしれない。このようなタイミングを任天堂が狙っていたかは定かではないが、奇しくもその少し先には、ブラックフライデーなどのイベントを通じて消費が活発化するホリデーシーズンも控えている。  一方で、その是非はともかくとして、SNS上には「前世代機を所有していないが、Nintendo Switch 2を購入したい人」「第4回までの抽選には参加していないが、そろそろ手に入れたいと考えている人」が蚊帳の外に置かれているとの批判もある。もし私が予測したように、第5回の抽選を経て流通の状況が明るくなっていくのであれば、一定程度、こうした声にも応えていくことができるのではないか。「マイニンテンドーストアにおける抽選では対応しないが、彼らには小売店への出荷分から手に入れてもらう」。そのような未来へとつながっていけば、それもまた、任天堂らしい歩みととらえられるのかもしれない。  マイニンテンドーストアでの第5回抽選を契機に、Nintendo Switch 2の在庫不足は解消へと向かうだろうか。このように未来を楽観視してしまうのは、きっと私だけではないはずだ。

結木千尋

リアルサウンド
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