9月の米大幅利下げ観測に勢い、CPI統計がハト派の見方支える
12日に発表された米国のインフレ指標が総じて落ち着いた内容となり、米連邦準備制度が近く利下げに踏み切るとの見方が市場で強まっている。一部では大幅利下げの可能性が高まったとの見方もある。
ここ数週間に投資家は、物価上昇が抑制されれば連邦準備制度が向こう数カ月に利下げに動くとの予想に基づき、スワップやオプション取引のほか米国債の買い持ちを進めてきた。この見方を裏付けたのが、同日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)だ。米短期国債利回りは低下し、スワップ市場では9月の利下げ確率が90%に上昇した。
9月に0.25ポイント超の利下げを見込む動きもこの日に勢いを増し、予想通りとなった場合に利益が得られる担保付翌日物調達金利(SOFR)関連のポジションに、約200万ドル(約2億9600万円)のプレミアムが積み増された。
ブラックロックのグローバル債券担当最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏はリポートでCPIについて、「過去数カ月よりやや強めだったが、懸念されていたほどではなかった」とした上で「結果的に9月に利下げが開始されるとわれわれは予想している。0.5ポイントのフェデラルファンド(FF)金利誘導目標引き下げも正当化され得る」と述べた。
だが、この日の統計を受け、連邦準備制度の懸念が完全に払拭されたわけではない。財価格が小幅な上昇にとどまったことで関税による物価押し上げ懸念は和らいだが、7月の基調的な米インフレ率は年初以来で最大の伸びとなった。
関連記事:米CPI、サービスのけん引でコア指数が加速-財は緩やかな上昇 (3)
9月16、17両日に開催されるFOMC会合までにはまだ1カ月以上あり、米国債強気派は今後発表される重要なインフレ統計や雇用関連データを乗り越える必要がある。
関連記事:9月の米利下げ確率、90%近くに上昇-CPIおおむね予想通りで
ニュー・センチュリー・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ラウディア・サーム氏はブルームバーグテレビジョンで「9月の結果が確定したわけではない。まだこれを結論付けるだけのデータはない」と述べた。
ただ現時点では連邦準備制度のハト派姿勢に賭ける動きが目立つ。SOFR先物9月限に関連するオプション取引は、9月に0.5ポイントの利下げが織り込まれれば最大4000万ドルの利益が得られる可能性があるとブルームバーグは試算している。
一方、現物市場では、CPI統計発表を前に投資家が買い持ちポジションを解消したことが、JPモルガンが実施した11日まで1週間の米国債顧客調査で示された。
原題:Bets on Outsize Fed Cut Gain Steam as Inflation Data Backs Doves(抜粋)