こんなに荒々しいのか…。史上最も精細な太陽フレアの写真

Photo: NSF/NSO/AURA|画像の幅は地球の直径の約4倍!(2024年8月8日20:12 UT、イノウエ太陽望遠鏡で撮影)

コロナループも映ってる!

これは2024年夏に、アメリカ国立科学財団(NSF)のダニエル K. イノウエ太陽望遠鏡が捉えた太陽フレアの超精密画像です。1年越しの解析の結果、減衰期のXクラスフレアであることがわかり、超精密な画像とともに詳細がThe Astrophysical Journal Lettersに先月25日発表されました。

ここに映ってるコロナループは幅48km、厚さ最薄21km。これまで観測されたなかで一番小さなコロナループです。

動画も公開されていますよ。

Video: Gizmodo / YouTube

太陽フレアは、数ある恒星活動のなかでも最大級のエネルギーを放出するイベント。完ぺきな観測条件で捉えられたのは、ラッキーだった。

と論文主著者のCole Tamburriさん(コロラドボルダー大学ポスドク研究員)はプレスリリースで振り返っています。

太陽嵐は、電波障害や異常気象の要因なので、太陽の異変はいち早くキャッチできたほうが◎。今回克明に捉えられたコロナループは、太陽の磁場線に沿って薄いプラズマが弧を描く現象を指します。このプラズマのリボン(フレアリボン)が現れると、太陽フレアが近い兆候とされ、その動きを追うことが太陽活動の予測には欠かせません。

太陽の謎解明

観測では、長年仮説の域を出なかったコロナループのサイズについても初めて実測に成功しました。イノウエ望遠鏡が捉えた高精密画像のおかげで、ループ1本1本の解析が実現したのです。

フレアリボン(太陽大気下層でエネルギーが放出されて輝いている)/コロナループアーケード(コロナから南北フレアリボンにエネルギーを送る部位。磁場線に沿ってプラズマが弧を描いている)Image: NSF/NSO/AURA

森を漠然と見ていたのが突如、木の1本1本まで見えるようになった感覚だ。

サイズのみならず、その形状や発達プロセス、(太陽フレアのエネルギー源とされる)磁場リコネクション発生領域のスケールの解明にまで扉を開くものだ。

とTamburriさんも興奮気味に付け加えています。

チームでは、さらにコロナループが「フレア構造の基礎部分」かもしれないと睨んでおり、仮にそうだとすれば、その知見単体で太陽のデータとその地球への影響に対する見方が劇的に変わることも考えられます。まさに「太陽研究の画期的瞬間」(Tamburriさん)に居合わせてる気分ですね。

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