米30年債入札、需要は堅調-超長期債巡る懸念和らぐ
米財務省が12日実施した30年債入札(発行額220億ドル)は強い需要を集め、投資家が超長期債を敬遠するとの懸念を和らげる格好となった。
最高落札利回りは4.844%。入札締め切り午後1時現在の入札前取引の利回り4.895%を下回り、需要が堅調だったことを示した。長期国債は入札後も上昇を続け、30年物利回りは8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。
世界的に支出と債務水準の高まりに対する懸念から長期国債が敬遠される動きが強まっており、米30年債入札への注目が高まっていた。入札結果は買い手が米国の超長期債に価値を見いだしていることを示している。
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジェナディー・ゴールドバーグ氏は「30年債の堅調な入札結果は、外国人投資家の需要や財政赤字拡大に対する懸念はなお残るものの、高水準の利回りでは需要が依然として強いことを示している」と述べた。
30年債利回りは5月に5.15%まで上昇し、2007年以来の高水準に近づいた。その後も24年末よりも高い水準を維持している。
超長期債を巡る最近の不安の一部はトランプ大統領の大型減税・歳出法案に関連している。この法案は今後数年間で米財政赤字を数兆ドル膨らませると予測されているが、トランプ政権が導入した関税による収入によって、その影響は少なくとも部分的に緩和される見通しだ。
ムーディーズ・レーティングスは5月16日、米国の信用格付けを最上位から引き下げた。格下げの理由として「歴代の米政権と議会は、巨額の年間財政赤字と金利負担の増加傾向を反転させる措置で合意できなかった」と指摘した。
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こうした中、ウォール街ではダブルライン・キャピタルやパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、TCWグループなどの資産運用会社が米国の超長期債から距離を置き、金利リスクが低く、それでいてまずまずの利回りが見込める短期債へのシフトを進める動きが出ていた。
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超長期債を巡っては、日本を含む先進国で実施された入札で需要が低迷し、世界的に懸念が強まった。日本、ドイツ、カナダ、フランス、イギリスの30年債利回りは今年に入って上昇しており、世界的な支出拡大と債務水準の増加に対する懸念を反映している。
米国債入札ではバックアップ措置により、未達になることはない。主要ディーラー25社は、全ての入札において比例配分での応札を義務付けられている。
一方、ピムコは最近、償還期間が5-10年の世界の債券を選好する一方で、長期債をアンダーウエートとする運用方針を示した。
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5月初旬に実施された前回の30年債入札では、入札前取引での利回りが4.812%だったのに対し、最高落札利回りは4.819%と、低調な需要を示していた。
30年債入札の過去データはこちらをご覧ください。
原題:US Treasury’s 30-Year Bond Auction Is Met With Solid Demand(抜粋)
US 30-Year Auction Stops Through After Rallying Into Deadline(抜粋)
Treasury Sells $22b 30Y at 4.844% vs 4.859% WI Yield at Deadline