記者に苦言重ねる再生の道・石丸伸二氏に東京・望月衣塑子記者「大変衝撃」11分間の応酬

参院選の告示日に再生の道の石丸伸二代表(左)のぶら下がり取材に参加する東京新聞の望月衣塑子記者(右)=7月3日、東京都千代田区

地域政党「再生の道」の石丸伸二氏が代表を退く意向を示した27日の記者会見では、石丸氏が朝日新聞と日経新聞の記事に関して約12分間にわたり両紙の記者に苦言を呈し、東京新聞の望月衣塑子記者が約11分間かけて反論を重ねる場面があった。

「質問はコンパクトに」

「大変衝撃。記者を攻撃し続けることは、石丸さんの信頼や評価をおとしめてしまうのではないか」

マイクを手にした望月記者はこう切り出した。

石丸氏は会見の直前、自身が辞任の意向を固めたとする朝日新聞の記事の見出しに「都議選と参院選で全敗」という文言が、日経新聞の記事には自身が目をつむる姿の写真がそれぞれ添えられたことを問題視する形で両紙の記者に編集方針の妥当性を尋ねていた。

望月記者が2分超の時間をかけて「こういう(会見の)やり方を今後も続けるのか」という趣旨の質問をぶつけたところ、石丸氏は「もうちょっと(質問は)コンパクトに」とお願いしつつ、記者会見の進め方については「私個人のポリシーなのでこの先も不変」と回答。その上で、こう望月記者に反論した。

「どの口がおっしゃるのか。ダブルスタンダードだ。自分がやるのは批判で、相手がやるのは攻撃というのか」

再生の道の今後の活動や党運営について話す石丸伸二代表=27日午前、東京都港区(松井英幸撮影)

「褒められたスタンスではない」

しかし、望月記者もひるまない。

「会見の前に個別にやればいい話だ。公の場でこういう風にやっていくのを今後も続けていくのか」と述べ、「私がこういう質問をして批判を浴びるのとまったく同じかもしれないが…」と自身と石丸氏を重ね合わせた。

望月記者の会見での質問を巡っては、SNSなどで批判される場面は少なくない。

石丸氏は「『私がそうであるように…』と仰ったところに答えがある。(質問する側とされる側で)立場は逆だが、同じ思いでやっている」と述べ、双方至らぬ点に対しては指摘し合うべきとの考えを示した。

その上で、「相手がやることは気に入らないというのは、あまり褒められたスタンスではない」と諭した。

望月記者「ああいえばこういう」

石丸氏は昨年6月まで務めた広島県安芸高田市長時代から会見での記者との応酬を好むタイプの政治家として知られる。

望月記者は、石丸氏がかつて広島市に本社を置く中国新聞を会見時に批判したことで、中国新聞の支局に批判が殺到したという事例を挙げ、「いつまでこういうことを繰り返すのか」と苦言を呈した。

これに石丸氏は、望月記者が所属する東京新聞に言及しながら、「事実に基づいた適切な記事でも矛先が取材対象に向かうことはある。良くないことかもしれないが、止められない。メディアの皆さんは、手を緩めるような忖度をするのか」と反論した。

望月記者が「ああいえばこういうと反論を繰り返す。勝った、勝たないみたいな議論にして、参院選や都議選の敗北をどう受け止めているのか」と応じると、石丸氏は「論点をずらしている。最初に私のスタンスを批判され、それについて答えたら勝ち負けの話に急になる。そんなこと言っていない」と訴えた。

途中退席に「良かったらまたお越しください」

望月記者は、石丸氏の会見について「ご自身が批判する場に毎回使っている。皆さん、だいたい記者は萎縮しちゃっている」と述べ、「記者が質問を活発にできない理由にこういう会見のやり方がある」と主張した。石丸氏は「信念に基づいて情報は発信している」と強調した。

やり取りは11分近く続き、石丸氏は「他の質問が出尽くして時間が余ったらでよろしいですか」と一時休戦を申し出たが、その約40分後、他の取材予定があったのか、望月記者は会見の終わりを待たずに突如席を立った。

他の記者とやり取りしていた石丸氏は、「望月さんが一番萎縮から遠かったと思うので、またよかったらお越しください」と声をかけていた。(奥原慎平)

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