【更新】茨城・石岡市長に戸井田氏 前職と新人破り初当選 「希望持てるまちづくりを」
前市長の失職に伴う茨城県石岡市長選は21日投開票され、無所属新人で前県議の戸井田和之氏(61)が、3選を目指した前職の谷島洋司氏(63)と、新人で医療法人理事長の幕内幹男氏(68)=ともに無所属=を破り、初当選した。当日有権者は5万8318人、投票率は51.86%(前回43.30%)。 午後8時40分過ぎ、同市若松の選挙事務所に当選の一報が伝わると、戸井田氏は集まった支持者と万歳三唱して喜びを分かち合った。「みんなで石岡市を立て直そうという気持ちが伝わったからこそ当選できた。子どもたちが希望を持てるまちづくりを進めていきたい」と力強く抱負を語った。 今回の市長選は、県内では52年ぶりとなる不信任決議による市長失職を受けて実施された。 選挙戦で戸井田氏は自民県議や地元市議らとともに大規模な組織戦を展開。35年の政治活動で培った経験とノウハウを強調し、市政の正常化や抜本的な刷新を求める有権者から幅広い支持を集めた。 街頭演説で、総事業費約78億円の複合文化施設計画の「白紙撤回」を主張。現市政の予算配分にも疑問を投げかけ、市長公用車の廃止や副市長の不採用など「身を切る改革」で捻出した財源を学校トイレの洋式化など身近な課題へ優先配分する考えを示した。議会との協調は事前の情報共有に努める意向を示した。 谷島氏は2度にわたる不信任決議のきっかけとなった議会との対立を陳謝し、分娩(ぶんべん)可能な産科病院誘致や教育支援など道半ばとなっている市政の継続を訴えたが、一歩及ばなかった。 幕内氏は市の現状を「絶滅危惧種」と批判。約30年に及ぶ病院経営の手腕を基に、市政の「治療」やふるさと納税活用などによる「稼ぐ財政」への転換を訴えたものの、届かなかった。 ■石岡市長選開票結果(選管最終) 当 10695 戸井田和之 61 無新 10433 谷島洋司 63 無前 8801 幕内幹男 68 無新 《解説》市政刷新に信託 茨城県石岡市長選は、新人で前県議の戸井田和之氏が三つどもえの激戦を制して初当選を果たした。市議会による不信任決議と市長失職という異例の事態を受け、有権者の関心は高く、投票率は前回を8.56ポイント上回った。歴代市長が議会と衝突してきた「負の連鎖」を断ち切り、市政の刷新を求める民意が示された形だ。 勝因は、戸井田氏が掲げたコスト意識に基づく予算配分の見直しが有権者の共感を得たことにある。選挙戦で、約77億8000万円を投じる複合文化施設計画の大型事業や公園トイレへの多額投資などを「身の丈に合わない」と指摘。市長公用車の廃止や副市長の不採用といった「身を切る改革」で財源を捻出し、学校トイレの洋式化など身近な課題へ充てるという実利的な訴えを展開した。 谷島洋司氏は市政継続を訴えたが、議会との対立を招いた責任を問う声を押し返せなかった。病院経営の手腕をアピールした幕内幹男氏も政治経験と国・県とのパイプを強調する戸井田氏の安定感には及ばなかった。
今後の課題は公約に掲げた複合文化施設計画の白紙撤回とその後の対応となる。合併特例債の活用期限が迫る中、代替案を迅速にまとめなければならない。議会との情報共有を徹底し、市と市議会、市民が一体となる市政運営を実践し、市政への信頼回復を実現できるか。新市長の手腕が問われることになる。