灯台下暗し、博物館の駐車場の地中深くから恐竜化石見つかる 米デンバー
米デンバー自然科学博物館の駐車場の地中深くから恐竜の化石の一部が見つかった/Richard M. Wicker/Denver Museum of Nature and Science
(CNN) 米コロラド州にあるデンバー自然科学博物館の科学者らが、特別な恐竜の化石を意外な場所で発見した。それは自分たちが勤務する博物館の駐車場の地中から見つかった。
「灯台下暗し」を地で行く発見があったのは今年1月。博物館地下の岩石層を調べる掘削プロジェクトを実施していたときだった。博物館が今月9日に明らかにした。
岩や堆積(たいせき)物のサンプルを採取する際に偶然見つかった化石は、直径約6.4センチの円盤状の部位を重ねたような外観で、6700万年以上前に現地に生息していた草食動物の脊髄(せきずい)とみられる。見つかったのは地表から230メートルの深さの地層で、博物館の報道向け発表によれば、これまで州内で発掘された化石としては最も古い年代、最も深い地層に属するという。
化石から恐竜の種類は特定できていないが、科学者らは鳥脚類として知られる二足歩行の草食恐竜のものだというところまでは絞り込んでいる。デンバーの都市部で鳥脚類の化石が見つかるのは初めてだ。
この恐竜を構成する他の化石は現在も地中に埋まっているが、それらを発掘する計画はない。博物館で地質学担当の学芸員を務めるジェームズ・ハガドーン博士は「残念ながら、駐車場全体を発掘するわけにはいかない。駐車場は博物館をはじめとするあらゆる文化施設にとって本当に重要だ」「ただ今やこの場所には、恐竜の真上に駐車できるという特典が付いた」と語った。
掘削プロジェクトの当初の目的は、現地の地熱エネルギーを博物館に利用できるかどうかを調べることだった。研究者らはまだ掘削した長さ約300メートルの岩石層の分析を行う予定であり、そこには化石や鉱物などが含まれている可能性があると、ハガドーン氏は述べた。
岩石層を研究する目的は数多く存在するが、恐竜の化石を発見することになるとは予想していなかったとハガドーン氏は言い添えた。また全身の化石は入手できなくても、当該の一部の骨により科学者らは白亜紀末期に現地に生息していた恐竜の多様性についてより深い知見を得られるとも述べた。
化石は現在博物館で展示中。デンバー自然科学博物館のウェブサイトによると、同館は恐竜や植物、哺乳類の化石11万5000点前後を所蔵している。